第48話
文字数 690文字
『でもこのおやきは冷凍だし、配るのはどうかしらね。マドレーヌならよさそうだけど』
そういって黙りこむ二人の雰囲気は、話している内容はおやきとマドレーヌのはずなのに、とてもそんな平和な感じがしない。まるでおやきとマドレーヌが代理戦争をしているようだ。そんな空気をやわらげるべくまりあは慎重に口を開いた。
『おやきが冷凍ならしばらくもつじゃないですか。もらっておいて損はないですよ? どうしても余るっていうならわたしが頂きますから。それからマドレーヌとガナッシュも賞味期限、結構長いから慌ててたべなくても大丈夫ですよ。このお店の焼き菓子、すごく美味しいんです。だからお店のスタッフさんに持っていっても喜んで貰えると思います。それでも余ったらそれもわたしが貰いますから』
早口で一気にそういって上茶谷に紙袋を手渡す。受け取った上茶谷の固い表情がゆっくりほぐれふわりと微笑んだ。
『どちらにしても余ったらまりあがもらってくれるのね?』
その言葉に勢いを得て大きく頷く。
『喜んで頂きますよ。だからダイゴさん、ここは安心して両方もらっておいてください』
その言葉に、上茶谷が瞳を細めてまりあを見た。
『それなら大丈夫ね』
『でしょ』
そういって二人して笑いあう。上茶谷の笑顔が戻ってまりあはホッとした。
『いつの間にか女子のありがちトークみたいになってる』
金髪男も硬い表情をほどいて一緒に笑っていた。その無造作でくだけた笑顔は子供みたいで邪気がなく、先程までの雰囲気とまるで違った。こういう落差 をもつ彼は、かなりモテるだろう。そしてその魅力を自分でもよくわかっている人だ。まりあは何となくそう感じた。
そういって黙りこむ二人の雰囲気は、話している内容はおやきとマドレーヌのはずなのに、とてもそんな平和な感じがしない。まるでおやきとマドレーヌが代理戦争をしているようだ。そんな空気をやわらげるべくまりあは慎重に口を開いた。
『おやきが冷凍ならしばらくもつじゃないですか。もらっておいて損はないですよ? どうしても余るっていうならわたしが頂きますから。それからマドレーヌとガナッシュも賞味期限、結構長いから慌ててたべなくても大丈夫ですよ。このお店の焼き菓子、すごく美味しいんです。だからお店のスタッフさんに持っていっても喜んで貰えると思います。それでも余ったらそれもわたしが貰いますから』
早口で一気にそういって上茶谷に紙袋を手渡す。受け取った上茶谷の固い表情がゆっくりほぐれふわりと微笑んだ。
『どちらにしても余ったらまりあがもらってくれるのね?』
その言葉に勢いを得て大きく頷く。
『喜んで頂きますよ。だからダイゴさん、ここは安心して両方もらっておいてください』
その言葉に、上茶谷が瞳を細めてまりあを見た。
『それなら大丈夫ね』
『でしょ』
そういって二人して笑いあう。上茶谷の笑顔が戻ってまりあはホッとした。
『いつの間にか女子のありがちトークみたいになってる』
金髪男も硬い表情をほどいて一緒に笑っていた。その無造作でくだけた笑顔は子供みたいで邪気がなく、先程までの雰囲気とまるで違った。こういう