第60話
文字数 753文字
「母直伝の餃子なんですよ。時間がある時に大量につくって冷凍 しとくんです。にんにくが苦手なんで、にんにく抜きでキャベツと紫蘇 を入れてます。形は若干焼くとき崩れてしまいましたけど、紫蘇が嫌いじゃなかったら味は大丈夫だと思うんですけど。……にんにくが入ってないと物足りないかな。どうでしょう?」
上茶谷は早速箸でつまんで餃子をたべてみる。カリッとした歯ごたえから、肉汁が流れ込み、それを追いかけてほのかな紫蘇の香りが舌に染み込んできた。にんにくが入っていなくてもしっかりした味わいだ。それを紫蘇がさっぱりさせているから食べやすい。
「すごく美味しい。紫蘇がいい味だしてる」
「よかったー!」
上茶谷の言葉にまりあはぱあっと笑顔になる。
「餃子は危険な食べ物ですけどね。ビールが際限なく進んじゃうから」
「確かにどこまでもいけるわね、これは」
そんな話をしながら、ビールも餃子もどんどん消費していく。上茶谷は男性としてはそれ程飲める方でも食べる方でもない。ただしまりあよりは身体が大きいから余力はあると思っていた。
しかしまりあは上茶谷のペースに引けを取らない。むしろもっといけるかもしれない。うどんの早食いにも驚いたが餃子の食べっぷりビールの飲みっぷりにも驚く。
「あなた、小さい身体でよく食べるし飲むわねえ」
感嘆してそういうと、まりあはえへへと笑った。
「食べるのも飲むのも大好きなんです。まだいけそうです」
目の前にある皿の餃子を平らげようとしているまりあに声をかける。
「おやきもあるけど……食べる?」
おやき。そのキーワードをだしたとたん、まりあが困ったように眉をさげて上茶谷を見あげた。彼女も上島のことをどこかで気にしていたのだと上茶谷は苦笑する。まりあも同じように微笑んで頷いた。
「えーと。じゃあひとつ頂こうかな」
上茶谷は早速箸でつまんで餃子をたべてみる。カリッとした歯ごたえから、肉汁が流れ込み、それを追いかけてほのかな紫蘇の香りが舌に染み込んできた。にんにくが入っていなくてもしっかりした味わいだ。それを紫蘇がさっぱりさせているから食べやすい。
「すごく美味しい。紫蘇がいい味だしてる」
「よかったー!」
上茶谷の言葉にまりあはぱあっと笑顔になる。
「餃子は危険な食べ物ですけどね。ビールが際限なく進んじゃうから」
「確かにどこまでもいけるわね、これは」
そんな話をしながら、ビールも餃子もどんどん消費していく。上茶谷は男性としてはそれ程飲める方でも食べる方でもない。ただしまりあよりは身体が大きいから余力はあると思っていた。
しかしまりあは上茶谷のペースに引けを取らない。むしろもっといけるかもしれない。うどんの早食いにも驚いたが餃子の食べっぷりビールの飲みっぷりにも驚く。
「あなた、小さい身体でよく食べるし飲むわねえ」
感嘆してそういうと、まりあはえへへと笑った。
「食べるのも飲むのも大好きなんです。まだいけそうです」
目の前にある皿の餃子を平らげようとしているまりあに声をかける。
「おやきもあるけど……食べる?」
おやき。そのキーワードをだしたとたん、まりあが困ったように眉をさげて上茶谷を見あげた。彼女も上島のことをどこかで気にしていたのだと上茶谷は苦笑する。まりあも同じように微笑んで頷いた。
「えーと。じゃあひとつ頂こうかな」