第124話
文字数 762文字
「どうして添い寝しようなんて言ったの?」
その言葉にほんの少し身動ぎしたけれど、まりあはぎこちないながら、笑みを浮かべてみせた。
「……すいません。変なこと言って」
上茶谷もゆっくり首を振って微笑んでみせる。
「変なことじゃないわよ。私だってまりあと添い寝するの、好きよ。ただ……あのタイミングで、いきなり添い寝を誘ってきた理由を知りたいだけ」
まりあは俯いてしまったから上茶谷は彼女のつむじしか見えない。けれど何かを一生懸命に考えていることはわかる。細い肩先が揺れている。しばらくして、まりあはそっと顔をあげた。
「ダイゴさんと一緒に寝るとすごく心地よかったから、また寝てみたいなって思って。そしたらダイゴさんと……いっぱいしゃべれるし。あ、でも、もう気にしなくていいです。大丈夫です」
小学生の作文みたいなまりあの答えに、上茶谷が何が大丈夫なのと言って苦笑すると、彼女も困ったように笑う。ふたりの笑いが空気に溶けて、また沈黙がぽとりと落ちてくる。風が吹いて近くの木々の葉をさわさわと揺らす。遅れて、その風が上茶谷の頰を撫でた時、するりと何かが彼の内側に入ってきて、囁いたような感覚を覚えた。
もしかしたらまりあも上茶谷と同じような気持ちなのかもしれない。今まで感じたことのない
「まりあ」
「はい?」
ワントーン高い声で答えたまりあの頰は、ほんのり熱を帯びている。その熱を感じながら上茶谷は目を細めて、大きく瞳を見開いたままのまりあに、微笑みかけた。
「添い寝しましょ」
その言葉にほんの少し身動ぎしたけれど、まりあはぎこちないながら、笑みを浮かべてみせた。
「……すいません。変なこと言って」
上茶谷もゆっくり首を振って微笑んでみせる。
「変なことじゃないわよ。私だってまりあと添い寝するの、好きよ。ただ……あのタイミングで、いきなり添い寝を誘ってきた理由を知りたいだけ」
まりあは俯いてしまったから上茶谷は彼女のつむじしか見えない。けれど何かを一生懸命に考えていることはわかる。細い肩先が揺れている。しばらくして、まりあはそっと顔をあげた。
「ダイゴさんと一緒に寝るとすごく心地よかったから、また寝てみたいなって思って。そしたらダイゴさんと……いっぱいしゃべれるし。あ、でも、もう気にしなくていいです。大丈夫です」
小学生の作文みたいなまりあの答えに、上茶谷が何が大丈夫なのと言って苦笑すると、彼女も困ったように笑う。ふたりの笑いが空気に溶けて、また沈黙がぽとりと落ちてくる。風が吹いて近くの木々の葉をさわさわと揺らす。遅れて、その風が上茶谷の頰を撫でた時、するりと何かが彼の内側に入ってきて、囁いたような感覚を覚えた。
もしかしたらまりあも上茶谷と同じような気持ちなのかもしれない。今まで感じたことのない
この
感覚に戸惑っているから。これが一体何なのか知りたいから。その糸口が添い寝なのかもしれない、と。上茶谷は手を伸ばし、まりあの頰を手のひらで包んだ。彼の突然の行動に、まりあは驚きをそのまま石膏で固めたような顔をして見上げてくるから、上茶谷の口元は緩んでしまう。「まりあ」
「はい?」
ワントーン高い声で答えたまりあの頰は、ほんのり熱を帯びている。その熱を感じながら上茶谷は目を細めて、大きく瞳を見開いたままのまりあに、微笑みかけた。
「添い寝しましょ」