第231話
文字数 719文字
「……三人ていうのは想定外でしたけど、今回の同居は上島さんに背中を押されたところがあったんです。だから今、微睡 んでいるだけみたいなわたしをみたら、上島さんにその程度だったのかって鼻で笑われてしまいそうです」
「……そんなこと、思っていないと思うけど」
ややトーンダウンしたまりあに、上茶谷が労るように声を掛けると、彼女は数秒ほど間を開けてから口を開く。
「上島さんと話をしてから、すごく色々考えたんです。わたしはどうしたいのだろうって」
まりあは多少アルコールがはいったせいか口が滑らかだ。けれど酔っているという感じではない。上茶谷はそのままじっと彼女の言葉に耳を傾ける。
「一緒に住みたいってダイゴさんに直談判したとき。ただ傍にいられるだけでいい。そう思っていたんです。もしそれをダイゴさんも受け入れてくれたなら、それが幸せなんだって。でも……」
一気にそこまでいってからまりあは小さく吐息をついた。
「一緒に住んでみて思ったんですけど、こうして穏やかに過ごしていられるのも期間限定で、なおかつ三人の組み合わせが不思議にバランスがとれているだけなのかもしれないなあって」
そういって目を伏せたまりあは口元をそっと緩めた。
「もしわたしとダイゴさんの二人だけで住んでいたとしたら……。わたしじゃダイゴさんの恋人にはどうしたってなれないじゃないですか。つまり……いつかダイゴさんに、ちゃんとした恋人ができたりすることもあるわけで」
まりあはひとりで納得したように、うんうんと頷く。
「その覚悟がわたしにあるのか。ダイゴさんに恋人がいたら、そもそもわたしと同居している意味がなくなるんじゃないのか、とか。そんな余計なことばかり考えてしまいそうな気がして」
「……そんなこと、思っていないと思うけど」
ややトーンダウンしたまりあに、上茶谷が労るように声を掛けると、彼女は数秒ほど間を開けてから口を開く。
「上島さんと話をしてから、すごく色々考えたんです。わたしはどうしたいのだろうって」
まりあは多少アルコールがはいったせいか口が滑らかだ。けれど酔っているという感じではない。上茶谷はそのままじっと彼女の言葉に耳を傾ける。
「一緒に住みたいってダイゴさんに直談判したとき。ただ傍にいられるだけでいい。そう思っていたんです。もしそれをダイゴさんも受け入れてくれたなら、それが幸せなんだって。でも……」
一気にそこまでいってからまりあは小さく吐息をついた。
「一緒に住んでみて思ったんですけど、こうして穏やかに過ごしていられるのも期間限定で、なおかつ三人の組み合わせが不思議にバランスがとれているだけなのかもしれないなあって」
そういって目を伏せたまりあは口元をそっと緩めた。
「もしわたしとダイゴさんの二人だけで住んでいたとしたら……。わたしじゃダイゴさんの恋人にはどうしたってなれないじゃないですか。つまり……いつかダイゴさんに、ちゃんとした恋人ができたりすることもあるわけで」
まりあはひとりで納得したように、うんうんと頷く。
「その覚悟がわたしにあるのか。ダイゴさんに恋人がいたら、そもそもわたしと同居している意味がなくなるんじゃないのか、とか。そんな余計なことばかり考えてしまいそうな気がして」