第194話
文字数 735文字
「なんというか……キャラがたってるコだね」
上島が完全に他人事な様子で楽しそうに呟いたから、まりあは大きなため息をついた。
「上島さん、とにかく行きましょう」
また誰かに会ったりして面倒なことにはなりたくない。まりあが早口でそういうと上島はハイハイといって笑った。それから道路にでて、走行してくる車からまりあをガードするようにして助手席のドアを開けた。
「はい、どうぞ」
「……失礼します」
紳士的な上島を見上げる。ナナと遭遇した勢いで上島と漫才みたいな掛け合いをしていたら、彼に対する警戒が緩んでしまったかもしれない。まりあはきゅっと手のひらを握りしめ気合いを入れ直す。改めて運転席の上島をみると、彫刻刀でざっくり削ったようなワイルドな顔立ちのくせに、全体としては整った顔立ちをしている。たしかにイケメンと言われる部類に入るだろうとまりあは思う。何を考えているのかよく分からない人ではあるが、今勢いがある会社の社長なのに、偉ぶる訳でもなく話もしやすい。そんな人が上茶谷の恋人。まりあはそっとため息をついた。
車内はクーラーが効いていて涼しかった。ぐるりと車内を見回す。インパネまわりからサイドドアに至るまでシックなブラウンとブラックの配色でまとめられている。シートはやはりブラウンの総革張り。まさにThe 高級車という仕様だ。
「立派な車に乗っていらっしゃるんですねえ」
上島に言うでもなくまりあが呟くと、シートベルトをしながら彼がふき出した。どうして上島が笑うのか。理解できなくてまりあは首を傾げると、上島は笑みを唇に残したまま答えた。
「ああ、そのコメントね。大悟が最初にこの車に乗った時、全く同じことを言ったなあって思いだしたから」
彼の言葉にまりあは固まってしてしまう。
上島が完全に他人事な様子で楽しそうに呟いたから、まりあは大きなため息をついた。
「上島さん、とにかく行きましょう」
また誰かに会ったりして面倒なことにはなりたくない。まりあが早口でそういうと上島はハイハイといって笑った。それから道路にでて、走行してくる車からまりあをガードするようにして助手席のドアを開けた。
「はい、どうぞ」
「……失礼します」
紳士的な上島を見上げる。ナナと遭遇した勢いで上島と漫才みたいな掛け合いをしていたら、彼に対する警戒が緩んでしまったかもしれない。まりあはきゅっと手のひらを握りしめ気合いを入れ直す。改めて運転席の上島をみると、彫刻刀でざっくり削ったようなワイルドな顔立ちのくせに、全体としては整った顔立ちをしている。たしかにイケメンと言われる部類に入るだろうとまりあは思う。何を考えているのかよく分からない人ではあるが、今勢いがある会社の社長なのに、偉ぶる訳でもなく話もしやすい。そんな人が上茶谷の恋人。まりあはそっとため息をついた。
車内はクーラーが効いていて涼しかった。ぐるりと車内を見回す。インパネまわりからサイドドアに至るまでシックなブラウンとブラックの配色でまとめられている。シートはやはりブラウンの総革張り。まさにThe 高級車という仕様だ。
「立派な車に乗っていらっしゃるんですねえ」
上島に言うでもなくまりあが呟くと、シートベルトをしながら彼がふき出した。どうして上島が笑うのか。理解できなくてまりあは首を傾げると、上島は笑みを唇に残したまま答えた。
「ああ、そのコメントね。大悟が最初にこの車に乗った時、全く同じことを言ったなあって思いだしたから」
彼の言葉にまりあは固まってしてしまう。