第136話
文字数 599文字
まりあが腕を緩めると上茶谷が顔をあげた。視線が合う。そっと微笑みあった。
「……わたしもずっとそれを考えていたんです」
上茶谷は笑みを深くしてゆっくりと手を伸ばし、まりあの頬を手のひらで包んだ。細くて繊細な指。まりあよりもずっと大きい手のひら。その感触はあまりにも心地よくて思わず吐息をついて瞼を閉じてしまう。じわりと染み込んでくる体温にゆるゆるとしばらく意識を漂わせる。そうしていたら、上茶谷が身動ぎして衣擦れの音がしたからまりあは反射的に目を開けた。
視線をあげると、上茶谷の綺麗な顔が目の前にあった。先程のように照れる間もなく、まぼろしを見ているような視点のズレを感じた瞬間、唇に暖かくて優しい感触を感じた。軽く甘噛みするように唇を食 まれて、まりあの耳の奥で血流がとくりと音をたてた。ゆっくりと唇を離した上茶谷が微笑む。その笑みはとても綺麗でやっぱりせつなげだった。
「キスしたからもう、ただ友達じゃないわよね。外国じゃないし」
くすりと笑ってそう言った上茶谷に、まりあはなんと言って良いかわからない。口を開こうとするけれど、距離が近すぎて少し動かしただけでも、彼の唇にまた触れてしまいそうで動けない。
「……それでも」
上茶谷が唇をすっとまりあの耳元に移したから、その吐息が耳を掠めて肩先がびくりと震えてしまう。けれど囁かれた言葉にまりあは瞳を見開いた。
「セックスはしない。それはどんな関係?」
「……わたしもずっとそれを考えていたんです」
上茶谷は笑みを深くしてゆっくりと手を伸ばし、まりあの頬を手のひらで包んだ。細くて繊細な指。まりあよりもずっと大きい手のひら。その感触はあまりにも心地よくて思わず吐息をついて瞼を閉じてしまう。じわりと染み込んでくる体温にゆるゆるとしばらく意識を漂わせる。そうしていたら、上茶谷が身動ぎして衣擦れの音がしたからまりあは反射的に目を開けた。
視線をあげると、上茶谷の綺麗な顔が目の前にあった。先程のように照れる間もなく、まぼろしを見ているような視点のズレを感じた瞬間、唇に暖かくて優しい感触を感じた。軽く甘噛みするように唇を
「キスしたからもう、ただ友達じゃないわよね。外国じゃないし」
くすりと笑ってそう言った上茶谷に、まりあはなんと言って良いかわからない。口を開こうとするけれど、距離が近すぎて少し動かしただけでも、彼の唇にまた触れてしまいそうで動けない。
「……それでも」
上茶谷が唇をすっとまりあの耳元に移したから、その吐息が耳を掠めて肩先がびくりと震えてしまう。けれど囁かれた言葉にまりあは瞳を見開いた。
「セックスはしない。それはどんな関係?」