第40話
文字数 896文字
「ダイゴさん、食欲ないっていうし元気もなくて消えてしまいそうって思っちゃって。でもさっきと表情がちがう。やっぱり食べるって元気でますよね! あ、うどんだけで足ります? 焼きおにぎりも出しましょうか?」
その言葉を聞いて上茶谷は動きを止めた。やはりまりあは上茶谷の状態をおかしいと感じて、あえて強引に夕飯に誘ってきたのだ。そう思ったら何か優しい温かいものがすとんと落ちてきて、それが心のなかにぴたりと収まった心地がした。元気が出たのはうどんを食べたから、だけじゃない。上茶谷はそっと微笑んでもう十分よと笑った。そのまま残りのうどんを最後まで食べて、汁もぜんぶ綺麗に飲んでから箸を置いて姿勢を正した。
「まりあ、ご馳走様。うどん、本当に美味しかった」
今感じている気持ちを込めて、上茶谷は笑顔のままその言葉を舌に載せる。まりあはなぜか一瞬ぽかんとした表情で上茶谷を見つめたあと、ぱあっと頬を染めてモゴモゴとそれはよかったですなんて呟くから笑ってしまう。どうやら照れているらしい。そういえば昨夜、出会った当初からドタバタしていて、まりあという人を良く見ていなかったと上茶谷は今更ながら思う。観察するように見つめると、まりあはさらに顔を赤らめて口を尖らせた。
「ちょっ……。ジロジロ見ないで下さい。じっと見られると落ち着かなくなります」
「あら、ごめんなさい。仕事柄ついね……」
そう言われても、客やモデルを前にした時のような観察をやめない。ベースメイクが薄いのはいい。肌理 が細かくて白く綺麗な肌を生かせるから。この肌質がまりあを若く見せている大きなポイントだろう。ぬいぐるみの目のようにポチポチとついている、小動物感を醸し出しているつぶらな丸い瞳もかわいらしいといっていい。ポイントメイクを工夫したらもっとキュートさを表現できそうだ。唇も小ぶりながらぽってりした化粧映えするタイプ。つけるルージュの色味によってがらりと雰囲気が変わって面白いかもしれない。
素材は全然悪くない。それなのになぜ“ちんちくりん感”がでるのか。背が低いからというより全体のバランスを悪くしているのはその髪型だろうと上茶谷は思う。
その言葉を聞いて上茶谷は動きを止めた。やはりまりあは上茶谷の状態をおかしいと感じて、あえて強引に夕飯に誘ってきたのだ。そう思ったら何か優しい温かいものがすとんと落ちてきて、それが心のなかにぴたりと収まった心地がした。元気が出たのはうどんを食べたから、だけじゃない。上茶谷はそっと微笑んでもう十分よと笑った。そのまま残りのうどんを最後まで食べて、汁もぜんぶ綺麗に飲んでから箸を置いて姿勢を正した。
「まりあ、ご馳走様。うどん、本当に美味しかった」
今感じている気持ちを込めて、上茶谷は笑顔のままその言葉を舌に載せる。まりあはなぜか一瞬ぽかんとした表情で上茶谷を見つめたあと、ぱあっと頬を染めてモゴモゴとそれはよかったですなんて呟くから笑ってしまう。どうやら照れているらしい。そういえば昨夜、出会った当初からドタバタしていて、まりあという人を良く見ていなかったと上茶谷は今更ながら思う。観察するように見つめると、まりあはさらに顔を赤らめて口を尖らせた。
「ちょっ……。ジロジロ見ないで下さい。じっと見られると落ち着かなくなります」
「あら、ごめんなさい。仕事柄ついね……」
そう言われても、客やモデルを前にした時のような観察をやめない。ベースメイクが薄いのはいい。
素材は全然悪くない。それなのになぜ“ちんちくりん感”がでるのか。背が低いからというより全体のバランスを悪くしているのはその髪型だろうと上茶谷は思う。