第172話
文字数 632文字
「はあ……」
まりあは大きなため息をついた。最近、上茶谷とほとんど顔を合わせていない。それどころかメッセージを送ってもなかなか返信が来ない。遅いときは数日経ってようやく戻ってくることもある。そして以前に比べるとそっけないと感じるくらい文章が短い。
一行だけの文章がぽつんと送られてくると、まりあはどう返信していいかわからなくなる。スマホ上で指が行ったり来たりしたあと、結局なにも送らないまま閉じていた。かつて付き合っていた恋人ともまりあはだらだら電話をしたり、メッセージを送り合ったりはしなかった。けれど上茶谷とはお互い時間が許せば楽しくお喋りしたり、夜中近くまでメッセージのやりとりをしていたのに。
「きっと、すごく忙しいんだよね……」
まりあは玄関先で膝をかかえて丸くなる。最近上茶谷の帰りも遅いようで帰ってこない日もある。こうして玄関先に座って彼が帰ってくる気配に、何度か耳を澄ましてみたこともあったけれど、階段をのぼってくる様子はなくて諦めてベッドに入ることもたびたびあった。
どんどん上茶谷との距離が開いているようで、まりあはなんだか泣きたい気分になってしまう。
「相談したいことがあるのに、な……」
ひとりそう呟いて足先を見つめる。ペティキュアをしようと思いながらできていない。季節はもうすっかり夏。部屋のほうで冷房をかけて廊下につながるドアも開け放しているとはいえ、玄関先に座っているとじんわりと首のあたりに汗を感じる。それでもまりあはそこから動けない。
まりあは大きなため息をついた。最近、上茶谷とほとんど顔を合わせていない。それどころかメッセージを送ってもなかなか返信が来ない。遅いときは数日経ってようやく戻ってくることもある。そして以前に比べるとそっけないと感じるくらい文章が短い。
一行だけの文章がぽつんと送られてくると、まりあはどう返信していいかわからなくなる。スマホ上で指が行ったり来たりしたあと、結局なにも送らないまま閉じていた。かつて付き合っていた恋人ともまりあはだらだら電話をしたり、メッセージを送り合ったりはしなかった。けれど上茶谷とはお互い時間が許せば楽しくお喋りしたり、夜中近くまでメッセージのやりとりをしていたのに。
「きっと、すごく忙しいんだよね……」
まりあは玄関先で膝をかかえて丸くなる。最近上茶谷の帰りも遅いようで帰ってこない日もある。こうして玄関先に座って彼が帰ってくる気配に、何度か耳を澄ましてみたこともあったけれど、階段をのぼってくる様子はなくて諦めてベッドに入ることもたびたびあった。
どんどん上茶谷との距離が開いているようで、まりあはなんだか泣きたい気分になってしまう。
「相談したいことがあるのに、な……」
ひとりそう呟いて足先を見つめる。ペティキュアをしようと思いながらできていない。季節はもうすっかり夏。部屋のほうで冷房をかけて廊下につながるドアも開け放しているとはいえ、玄関先に座っているとじんわりと首のあたりに汗を感じる。それでもまりあはそこから動けない。