第127話
文字数 720文字
「ねえ。お化けでも見たような反応やめて」
まりあの動きをみて、上茶谷が小さくふきだした。
「す、すいません。なんだかびっくりしちゃって」
モゴモゴと口ごもりながらそう言ったまりあを唇に笑みを残したまま見つめて、上茶谷がベッドに腰掛けた。きしむ音と一緒に伝わってきた振動がまりあの身体も心も揺らす。
上茶谷はゆったりしたTシャツに部屋着らしいパンツを履いている。シャワーを浴びた直後で、ほんのり水分を孕んでいるせいか、髪の毛もナチュラルにすとんと下に落ちているのが、いつも以上に彼を若くみせている。そんな寛いだ姿でも上茶谷だとなんだか絵になっていると、まりあはその姿をぼんやり見つめてしまう。
そうしていたら彼と寝室でふたりきりでいることを、まりあは唐突に強く意識してしまった。なんとなく彼を直視できず、ほんのすこしだけ顔から視点をずらす。
「何考えてたの?」
「えーと、えーと……その、ダイゴさん、最初は添い寝はダメって言ってたのに、どうしてまた誘ってきたのかなって思って……」
しどろもどろのまりあの返事に、上茶谷がからかうように瞳を細めてあっさり答えた。
「まりあが煽るから」
予想もしなかった答えに小さく叫んでしまう。
「はっ?!」
まりあの素っ頓狂な声が部屋に響くと、上茶谷はしぃっと言って人差し指を唇にあてたから、まりあも慌てて自分の口に手のひらを当てる。
「まりあ」
上茶谷がゆっくりと手を伸ばす。その手をぼーっと見つめたあと、視線を上茶谷の顔に移動させると彼が微笑んでいるのが見えた。それは先程まで見たいと思っていた、いつもの優しい笑みとはちがう種類に見えた。熱が溶け込んで濃くなったような瞳がじっとまりあを見つめている。
「こっちに来て」
まりあの動きをみて、上茶谷が小さくふきだした。
「す、すいません。なんだかびっくりしちゃって」
モゴモゴと口ごもりながらそう言ったまりあを唇に笑みを残したまま見つめて、上茶谷がベッドに腰掛けた。きしむ音と一緒に伝わってきた振動がまりあの身体も心も揺らす。
上茶谷はゆったりしたTシャツに部屋着らしいパンツを履いている。シャワーを浴びた直後で、ほんのり水分を孕んでいるせいか、髪の毛もナチュラルにすとんと下に落ちているのが、いつも以上に彼を若くみせている。そんな寛いだ姿でも上茶谷だとなんだか絵になっていると、まりあはその姿をぼんやり見つめてしまう。
そうしていたら彼と寝室でふたりきりでいることを、まりあは唐突に強く意識してしまった。なんとなく彼を直視できず、ほんのすこしだけ顔から視点をずらす。
「何考えてたの?」
「えーと、えーと……その、ダイゴさん、最初は添い寝はダメって言ってたのに、どうしてまた誘ってきたのかなって思って……」
しどろもどろのまりあの返事に、上茶谷がからかうように瞳を細めてあっさり答えた。
「まりあが煽るから」
予想もしなかった答えに小さく叫んでしまう。
「はっ?!」
まりあの素っ頓狂な声が部屋に響くと、上茶谷はしぃっと言って人差し指を唇にあてたから、まりあも慌てて自分の口に手のひらを当てる。
「まりあ」
上茶谷がゆっくりと手を伸ばす。その手をぼーっと見つめたあと、視線を上茶谷の顔に移動させると彼が微笑んでいるのが見えた。それは先程まで見たいと思っていた、いつもの優しい笑みとはちがう種類に見えた。熱が溶け込んで濃くなったような瞳がじっとまりあを見つめている。
「こっちに来て」