第54話
文字数 637文字
「次、どこかで二人になったら答えを聞きます。ここまでヒントがダダ漏れなのにわからないとか言うのはナシです。絶対答えてもらいますからね」
「え、坂口くん、ちょっと待って」
坂口は笑顔で、けれどきっぱりと首を振る。
「待ちません。それでも板野さんが答えを間違えたら、……罰ゲームで俺の言うことを聞いてもらいます」
「ええっ?! じゃ、正解したらわたしもなにか良いことあるの?」
坂口は一瞬考えるような表情を浮かべたあと、にやりと笑った。
「ええ、もちろん。ご褒美をあげます」
「なにその、どちらにしても上から目線的な感じは!」
坂口はようやくいつもの調子になって楽しそうに笑った。
「じゃ、答えを考えておいてくださいね。先にいってます」
手を軽く振ってスタスタと歩いていく坂口の背中をぼおっとみつめる。この状況から考えたら、いくら鈍感なまりあでも気づかざる得ない。坂口はまりあに対して特別な好意がある、と。彼からそう感じる事は度々あった。それでも基本的に彼はまりあのことをからってばかりいたから、勘違いだろうと思えるレベルだったし、正人 との苦い別れから、彼と同い年の坂口を恋愛対象としてみないようにしていたのもある。さらにはナナの想いまで絡んでいる。
それでも同僚として坂口と話をするのは楽しかったから、余計なことはあまり考えたくなくて思考停止していた自覚はあった。けれどここまで言われたら、どうしたって坂口が言ったことを真面目に考えないといけない。まりあは、はあと大きなため息をこぼした。
「え、坂口くん、ちょっと待って」
坂口は笑顔で、けれどきっぱりと首を振る。
「待ちません。それでも板野さんが答えを間違えたら、……罰ゲームで俺の言うことを聞いてもらいます」
「ええっ?! じゃ、正解したらわたしもなにか良いことあるの?」
坂口は一瞬考えるような表情を浮かべたあと、にやりと笑った。
「ええ、もちろん。ご褒美をあげます」
「なにその、どちらにしても上から目線的な感じは!」
坂口はようやくいつもの調子になって楽しそうに笑った。
「じゃ、答えを考えておいてくださいね。先にいってます」
手を軽く振ってスタスタと歩いていく坂口の背中をぼおっとみつめる。この状況から考えたら、いくら鈍感なまりあでも気づかざる得ない。坂口はまりあに対して特別な好意がある、と。彼からそう感じる事は度々あった。それでも基本的に彼はまりあのことをからってばかりいたから、勘違いだろうと思えるレベルだったし、
それでも同僚として坂口と話をするのは楽しかったから、余計なことはあまり考えたくなくて思考停止していた自覚はあった。けれどここまで言われたら、どうしたって坂口が言ったことを真面目に考えないといけない。まりあは、はあと大きなため息をこぼした。