第191話
文字数 732文字
そこには髪の毛をくるくると綺麗に巻いたナナが立っていた。
「道端で独り言を言っているお姉さんがいるなーって思ったら、板野さんでしたー」
ナナがそう言ってにっこり笑うから、まりあも苦笑するしかない。
「一人暮らしが長いとつい、独り言増えちゃうんだよね。それよりどうしてこっちの道に?」
ナナがいつも使っている駅とは反対方向にあるコンビニの前。まさかここで彼女に会うと思わなかったまりあは勢い込んで聞いてしまう。
「あー、ちょっと合コンに行くことになってまして。少し歩きますけど地下鉄使ったほうが合コン場所のお店に近いから、こっちにきたんですよー」
そういって普段使わない地下鉄の駅方面へ視線を投げたナナを見つめる。確かに髪の毛を綺麗に巻いているだけではなく、メイクもいつも以上に完璧。ウエストを細いベルトで絞ったフレンチスリーブのワンピースが彼女の派手さをうまく中和して、少し派手寄りの清楚系女子といった印象を与えている。
「合コンかあ。うん、ばっちり可愛いよ」
まりあはまるで親戚のおばさんのようにそう言ってからふと思う。現役を引退したプロ野球選手はこんな気持ちでグランドで躍動する現役選手を見つめているのだろうか。そんな事を考えていたまりあにナナが首を傾げた。
「板野さんこそ、こんなところでどうしてぼんやり立っているんですかー」
「あー……」
思わず視線を泳がせる。なんて説明したらいいのかすぐには思いつかない。こうしてナナと話をしている間にも上島がきてしまったら、余計ややこしい事になってしまいそうだ。内心焦りだしたまりあにナナはひとり納得をしたように頷いた。
「あ! 坂口さんと待ち合わせなんですねー。ここなら会社の人に基本会わないし、待ち合わせしやすいですもんねー」
「道端で独り言を言っているお姉さんがいるなーって思ったら、板野さんでしたー」
ナナがそう言ってにっこり笑うから、まりあも苦笑するしかない。
「一人暮らしが長いとつい、独り言増えちゃうんだよね。それよりどうしてこっちの道に?」
ナナがいつも使っている駅とは反対方向にあるコンビニの前。まさかここで彼女に会うと思わなかったまりあは勢い込んで聞いてしまう。
「あー、ちょっと合コンに行くことになってまして。少し歩きますけど地下鉄使ったほうが合コン場所のお店に近いから、こっちにきたんですよー」
そういって普段使わない地下鉄の駅方面へ視線を投げたナナを見つめる。確かに髪の毛を綺麗に巻いているだけではなく、メイクもいつも以上に完璧。ウエストを細いベルトで絞ったフレンチスリーブのワンピースが彼女の派手さをうまく中和して、少し派手寄りの清楚系女子といった印象を与えている。
「合コンかあ。うん、ばっちり可愛いよ」
まりあはまるで親戚のおばさんのようにそう言ってからふと思う。現役を引退したプロ野球選手はこんな気持ちでグランドで躍動する現役選手を見つめているのだろうか。そんな事を考えていたまりあにナナが首を傾げた。
「板野さんこそ、こんなところでどうしてぼんやり立っているんですかー」
「あー……」
思わず視線を泳がせる。なんて説明したらいいのかすぐには思いつかない。こうしてナナと話をしている間にも上島がきてしまったら、余計ややこしい事になってしまいそうだ。内心焦りだしたまりあにナナはひとり納得をしたように頷いた。
「あ! 坂口さんと待ち合わせなんですねー。ここなら会社の人に基本会わないし、待ち合わせしやすいですもんねー」