第226話
文字数 652文字
面倒を通り越して厄介ですらあったこの同居になぜ同意したのか。それ以上にこのメンバーでの共同生活が思いの外、快適なものだったことにも上茶谷は驚いている。
ゴミ捨て、掃除などの決めたルールをきちんと守るのは当然として、まりあも坂口もあっさりしていて必要以上にパーソナルエリアに踏み込んでくることはない。性格は皆それぞれで似ている訳でもない。けれど一緒にいてイヤな感じがしない、むしろ楽だったりもする。そういった属性が、まりあだけでなく坂口にも備わっていたということだ。
それでいてたまに顔をあわせればまりあがボケ担当、坂口がツッコミ担当、上茶谷が司会進行みたいな形にいつのまにかなっていて、なんだかよくわからないうちに三人で話こんでしまうこともある。家族でもなく恋人でもない。だからこその丁度いい距離感。
上茶谷はそっと口元を緩め首を振る。それでも皆、ちゃんとわかっているのだ。この居心地のよさは微妙なバランスの上に成り立っていていつ壊れてもおかしくない。むしろ壊れることが前提なのだということを。
坂口がこのルームシェアを提案したのも、このままだと皆、一歩も先に進めなくなってしまったから。先に進むときは三人のバランスか壊れる時だ。とりあえず一年は共同生活し、それ以降どうするかはまた話し合うことになっている。
上茶谷がぼんやりとそこまで考えたところで、鍵ががちゃりと音をたてた。それから廊下をパタパタと歩いてくる音が響いて、リビングのドアが開く。
「ただいまです」
ひょっこり顔を出したのはまりあだった。
ゴミ捨て、掃除などの決めたルールをきちんと守るのは当然として、まりあも坂口もあっさりしていて必要以上にパーソナルエリアに踏み込んでくることはない。性格は皆それぞれで似ている訳でもない。けれど一緒にいてイヤな感じがしない、むしろ楽だったりもする。そういった属性が、まりあだけでなく坂口にも備わっていたということだ。
それでいてたまに顔をあわせればまりあがボケ担当、坂口がツッコミ担当、上茶谷が司会進行みたいな形にいつのまにかなっていて、なんだかよくわからないうちに三人で話こんでしまうこともある。家族でもなく恋人でもない。だからこその丁度いい距離感。
上茶谷はそっと口元を緩め首を振る。それでも皆、ちゃんとわかっているのだ。この居心地のよさは微妙なバランスの上に成り立っていていつ壊れてもおかしくない。むしろ壊れることが前提なのだということを。
坂口がこのルームシェアを提案したのも、このままだと皆、一歩も先に進めなくなってしまったから。先に進むときは三人のバランスか壊れる時だ。とりあえず一年は共同生活し、それ以降どうするかはまた話し合うことになっている。
上茶谷がぼんやりとそこまで考えたところで、鍵ががちゃりと音をたてた。それから廊下をパタパタと歩いてくる音が響いて、リビングのドアが開く。
「ただいまです」
ひょっこり顔を出したのはまりあだった。