第71話
文字数 749文字
『添い寝クラブってあるみたいじゃないですか。そんな感じで』
まりあがワクワクした調子でそういうと、上茶谷はなにか良からぬものを見た人のように眉を寄せた。
『何、その添い寝クラブって。どこにあるの?』
『え、朝、電車乗ってたら、目の前のおじさんが読んでたスポーツ新聞の広告にありましたけど』
『……なんだか如何 わしそう』
上茶谷は小さくため息をついて苦笑した。
『……それに私、誰かが傍にいるとあまりよく眠れないのよ』
シラフでそこまで言われたらさすがのまりあも諦めていただろう。しかし自称、冷静な酔っぱらいと化していたまりあは、それくらいでは引き下がらなかった。
『ああそうなんですね。じゃあ一時間くらい一緒に寝て、ダイゴさんが寝にくそうだったら退散します』
上茶谷は大きく瞳を見開いたあと、もう笑うしかないというように宙を仰いだ。
『そこまで言う!』
『はい。宜しくお願いします』
ペコリと頭を下げて顔をあげると口をへの字にした上茶谷と目が合う。それでもじっと見つめたら、ため息の後いつもの微笑が彼の口元に浮かんだ。
『仕方ないわね。明日は火曜日でお店は休みだし……付き合うわよ。まりあだから付き合うのよ。他の子に言われても絶対断っているからね?』
そうして先にベッドにはいっていたまりあは、眠気との戦いを繰り広げていた。上茶谷が来るまでは寝ちゃだめだ、となんとかギリギリ意識を保っていた。そこに片付けを終えてきた上茶谷が躊躇いがちにベッドに入り、まりあを軽く抱き寄せた。その瞬間だ。安心感と心地良さ、そして甘くて優しいなにかがさざなみのように押し寄せてきたのだ。ほとんど意識が飛んでいた状態のまりあがそれに耐えられるはずもない。
『……キモチよすぎる』
そんな寝言みたいなホンネをこぼし一瞬で寝落ちしてしまった。
まりあがワクワクした調子でそういうと、上茶谷はなにか良からぬものを見た人のように眉を寄せた。
『何、その添い寝クラブって。どこにあるの?』
『え、朝、電車乗ってたら、目の前のおじさんが読んでたスポーツ新聞の広告にありましたけど』
『……なんだか
上茶谷は小さくため息をついて苦笑した。
『……それに私、誰かが傍にいるとあまりよく眠れないのよ』
シラフでそこまで言われたらさすがのまりあも諦めていただろう。しかし自称、冷静な酔っぱらいと化していたまりあは、それくらいでは引き下がらなかった。
『ああそうなんですね。じゃあ一時間くらい一緒に寝て、ダイゴさんが寝にくそうだったら退散します』
上茶谷は大きく瞳を見開いたあと、もう笑うしかないというように宙を仰いだ。
『そこまで言う!』
『はい。宜しくお願いします』
ペコリと頭を下げて顔をあげると口をへの字にした上茶谷と目が合う。それでもじっと見つめたら、ため息の後いつもの微笑が彼の口元に浮かんだ。
『仕方ないわね。明日は火曜日でお店は休みだし……付き合うわよ。まりあだから付き合うのよ。他の子に言われても絶対断っているからね?』
そうして先にベッドにはいっていたまりあは、眠気との戦いを繰り広げていた。上茶谷が来るまでは寝ちゃだめだ、となんとかギリギリ意識を保っていた。そこに片付けを終えてきた上茶谷が躊躇いがちにベッドに入り、まりあを軽く抱き寄せた。その瞬間だ。安心感と心地良さ、そして甘くて優しいなにかがさざなみのように押し寄せてきたのだ。ほとんど意識が飛んでいた状態のまりあがそれに耐えられるはずもない。
『……キモチよすぎる』
そんな寝言みたいなホンネをこぼし一瞬で寝落ちしてしまった。