第152話
文字数 704文字
「ナナちゃんてやっぱり面白いよね。ちょっと坂口くんに似ているかもしれない」
ナナはそんなまりあを横目でちらりとみたあと苦笑する。
「だからわかるんですよ。坂口さんが板野さんのそういうおっとりしたトコ、好きなんだろうなって。だから私もちょっと真似してみたんですけど、付け焼刃じゃダメですよねえー」
ナナが足をぶらぶらさせながらまたため息をついた。
「それにしても、ですよ。坂口さんに告られたのにつきあわないなんて、ちょっと有り得ないんですけど。板野さん、まさか付き合っている人でもいるんですかー?」
「うーん」
まりあが唸ったのを見て、まじで? とナナが小さく叫んで身を乗り出した。
「元カレと別れたあとの情報、更新されてないです。いつの間に誰とつきあっていたんですかー? 聞いてないですよー!」
ナナが興味津々という様子で、グイグイ食らいついて聞いてくるから、まりあは苦笑するしかない。
「うーんとね。まず言うと、誰とも付き合ってないから。でも好きだなって思う人はいるし、その人も私のことを好きでいてくれてるとは思う。でも……つきあうとかっていう話は多分ないの。ううん、ない」
まりあは自分に言い聞かせるように呟いた。一人で鬱々と考えていると、曖昧にして考えないようにしていたこと。でもこうして他人に話すことによって、クリアにみえてくることもある。
自分は上茶谷にとって、
「え? もしかして不倫なんですかー?!」
ナナはそんなまりあを横目でちらりとみたあと苦笑する。
「だからわかるんですよ。坂口さんが板野さんのそういうおっとりしたトコ、好きなんだろうなって。だから私もちょっと真似してみたんですけど、付け焼刃じゃダメですよねえー」
ナナが足をぶらぶらさせながらまたため息をついた。
「それにしても、ですよ。坂口さんに告られたのにつきあわないなんて、ちょっと有り得ないんですけど。板野さん、まさか付き合っている人でもいるんですかー?」
「うーん」
まりあが唸ったのを見て、まじで? とナナが小さく叫んで身を乗り出した。
「元カレと別れたあとの情報、更新されてないです。いつの間に誰とつきあっていたんですかー? 聞いてないですよー!」
ナナが興味津々という様子で、グイグイ食らいついて聞いてくるから、まりあは苦笑するしかない。
「うーんとね。まず言うと、誰とも付き合ってないから。でも好きだなって思う人はいるし、その人も私のことを好きでいてくれてるとは思う。でも……つきあうとかっていう話は多分ないの。ううん、ない」
まりあは自分に言い聞かせるように呟いた。一人で鬱々と考えていると、曖昧にして考えないようにしていたこと。でもこうして他人に話すことによって、クリアにみえてくることもある。
自分は上茶谷にとって、
少し
特別な存在ではある。だからといって上茶谷の恋人になったりましてや結婚して家族になったりという、エリアには入れないのだ。そう思うとちょっとせつなくなって、小さくため息をついたところで、ナナが小さく叫んだ。「え? もしかして不倫なんですかー?!」