第68話
文字数 887文字
「まりあ……起きたの?」
「オハヨウゴザイマス……。昨夜はご迷惑をお掛けしまして。この状態で挨拶するのもなんですが……」
頬がかあっと熱くなるのを感じてまりあは視線を逸らす。こんな綺麗なひとから至近距離で見られたら緊張してしまう。
「今、何時?」
上茶谷がまだ半分寝ているような声でたずねてくる。耳元に響いてくるその声もまるで媚薬のように優しく染み込んでくるから。まりあは何度も瞬きして意識も逸らした。
「えーと、もうすぐ六時半です。わたし、会社に行く準備しないと」
気を引き締めるために、あえて真面目な調子でそういうもののまだ動きたくない。上茶谷はゆっくりと瞳を開くとまりあの心を読んだように笑う。
「休んじゃえば?」
「へ?!」
「まりあが強引に誘ってきたのよ。一緒に寝ようって。せっかく休みの日に気持ちよく寝てたのに、今起きられてもねえ。まりあもキモチイイって言ってたじゃない」
どこか色っぽく微笑まれてまりあはいよいよあせる。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。その言い方、語弊がありすぎますから。確かにキモチイイっていったかもしれないけど、使い方が違います! それよりそのダイゴさんが寝れなかったらベッドから出ていくっていったくせに、速攻で寝落ちして朝までお邪魔しちゃって……すいません」
上茶谷はすっかり目が覚めたように表情を崩してふきだした。
「こんなのお邪魔って域超えてるし」
まりあはいたたまれずもう一度すいません、と言いながらリネンのカバーがかかった羽布団のなかに深くもぐり込む。けれど上茶谷は容赦しない。彼も身体をずらして、まりあを楽しそうに見つめる。
「そうそう。一時間は起きてるって豪語してたくせに秒で寝おちしたわね。……でも私もめちゃくちゃよく寝れたの。こんなに深く眠ったの久しぶり」
「え?」
そういって顔をあげたまりあを、上茶谷がぬいぐるみか抱き枕みたいにギュッと抱きしめてきたから、血圧が一気にあがりそうなる。ここまで彼と接触してもやっぱり嫌な感じがしない。それどころか衝撃的なほど心地がいい。熱を帯びた吐息をつきながらまりあは昨晩のことを思い出す。
「オハヨウゴザイマス……。昨夜はご迷惑をお掛けしまして。この状態で挨拶するのもなんですが……」
頬がかあっと熱くなるのを感じてまりあは視線を逸らす。こんな綺麗なひとから至近距離で見られたら緊張してしまう。
「今、何時?」
上茶谷がまだ半分寝ているような声でたずねてくる。耳元に響いてくるその声もまるで媚薬のように優しく染み込んでくるから。まりあは何度も瞬きして意識も逸らした。
「えーと、もうすぐ六時半です。わたし、会社に行く準備しないと」
気を引き締めるために、あえて真面目な調子でそういうもののまだ動きたくない。上茶谷はゆっくりと瞳を開くとまりあの心を読んだように笑う。
「休んじゃえば?」
「へ?!」
「まりあが強引に誘ってきたのよ。一緒に寝ようって。せっかく休みの日に気持ちよく寝てたのに、今起きられてもねえ。まりあもキモチイイって言ってたじゃない」
どこか色っぽく微笑まれてまりあはいよいよあせる。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。その言い方、語弊がありすぎますから。確かにキモチイイっていったかもしれないけど、使い方が違います! それよりそのダイゴさんが寝れなかったらベッドから出ていくっていったくせに、速攻で寝落ちして朝までお邪魔しちゃって……すいません」
上茶谷はすっかり目が覚めたように表情を崩してふきだした。
「こんなのお邪魔って域超えてるし」
まりあはいたたまれずもう一度すいません、と言いながらリネンのカバーがかかった羽布団のなかに深くもぐり込む。けれど上茶谷は容赦しない。彼も身体をずらして、まりあを楽しそうに見つめる。
「そうそう。一時間は起きてるって豪語してたくせに秒で寝おちしたわね。……でも私もめちゃくちゃよく寝れたの。こんなに深く眠ったの久しぶり」
「え?」
そういって顔をあげたまりあを、上茶谷がぬいぐるみか抱き枕みたいにギュッと抱きしめてきたから、血圧が一気にあがりそうなる。ここまで彼と接触してもやっぱり嫌な感じがしない。それどころか衝撃的なほど心地がいい。熱を帯びた吐息をつきながらまりあは昨晩のことを思い出す。