第148話
文字数 710文字
「はあ……」
昼休み。いつもお弁当を食べている公園に来てベンチに座りまりあは盛大にため息をついた。座ってから十分は経っているにも関わらず、お弁当はなかなか減らない。ため息をするたびに膝のうえで揺れている。先日上茶谷と添い寝をして以来、まりあの心はどこか落ちつかない。電池が切れそうになって不規則な動きをしている時計の針みたいだ。
『セックスしないのはどんな関係?』
そう上茶谷に問われた時、口を開けたまま数秒、呆けたように上茶谷の顔をみつめることしかできなかった。そんなまりあを見て上茶谷は目尻を緩めてまりあの髪を撫でた。大事なものをそっと包むように。
『ごめんなさい、おかしな事を言って。添い寝するほど仲良しってことよね。さあ寝ましょ』
そのあと抱きしめられたから彼の顔は見えなくなってしまった。その温もりはやはり気持ちよかったけれど、彼の問いが頭からなかなか消えず以前のように簡単に寝付けなかった。意識がなくなる一歩手前をウロウロしていたら、それに気づいた上茶谷は優しく頭を撫でてくれた。次第に上茶谷の呼吸が規則正しくなって手が止まった頃に、まりあにもようやく眠りが染み込んできてハッと気づいたらもう朝になっていた。
上茶谷の腕のなかでそっと目をあけると静かに眠っている彼の顔があった。いびきをかくとか、白目で半目状態になっているとか。人間だもの、寝ている時くらいおかしなことになりそうなのに彼はどんな姿でも綺麗だった。まりあはふわりと幸せな気持ちに包まれた。
(寝顔をあんな間近でみて幸せを感じるって。わたしたちって一体どんな関係……)
普通に考えたら恋人同士か夫婦だろう。けれど上茶谷とまりあの関係には当てはまらない。
昼休み。いつもお弁当を食べている公園に来てベンチに座りまりあは盛大にため息をついた。座ってから十分は経っているにも関わらず、お弁当はなかなか減らない。ため息をするたびに膝のうえで揺れている。先日上茶谷と添い寝をして以来、まりあの心はどこか落ちつかない。電池が切れそうになって不規則な動きをしている時計の針みたいだ。
『セックスしないのはどんな関係?』
そう上茶谷に問われた時、口を開けたまま数秒、呆けたように上茶谷の顔をみつめることしかできなかった。そんなまりあを見て上茶谷は目尻を緩めてまりあの髪を撫でた。大事なものをそっと包むように。
『ごめんなさい、おかしな事を言って。添い寝するほど仲良しってことよね。さあ寝ましょ』
そのあと抱きしめられたから彼の顔は見えなくなってしまった。その温もりはやはり気持ちよかったけれど、彼の問いが頭からなかなか消えず以前のように簡単に寝付けなかった。意識がなくなる一歩手前をウロウロしていたら、それに気づいた上茶谷は優しく頭を撫でてくれた。次第に上茶谷の呼吸が規則正しくなって手が止まった頃に、まりあにもようやく眠りが染み込んできてハッと気づいたらもう朝になっていた。
上茶谷の腕のなかでそっと目をあけると静かに眠っている彼の顔があった。いびきをかくとか、白目で半目状態になっているとか。人間だもの、寝ている時くらいおかしなことになりそうなのに彼はどんな姿でも綺麗だった。まりあはふわりと幸せな気持ちに包まれた。
(寝顔をあんな間近でみて幸せを感じるって。わたしたちって一体どんな関係……)
普通に考えたら恋人同士か夫婦だろう。けれど上茶谷とまりあの関係には当てはまらない。