第242話
文字数 543文字
上島は上茶谷に対してまだ想いを残しているのは明らかで。その彼がまりあと上茶谷の関係よりも坂口との関係に敏感に反応している。つまり上茶谷の答えも期待するものではない可能性が高い。微かな切なさがまりあの胸をチクリと刺す。
軽く首を振り、そんな考えをいったん頭から追い出して残っていたパンをゆっくりと口に入れる。まりあが考え事をしながら咀嚼している間、食べ終えて皿の横にナイフとフォークを置いた上島が口を開いた。
「俺が思うに、きみたちってやっぱりマルな関係ではないと思うけどね。強いていえば三角が微妙に崩れてマルにみえるって感じかな」
「三角が崩れた……」
まりあが小さな声でそう呟くと上島が口元を緩めて言った。
「あ、悪い意味じゃないよ? まりあちゃんが三人の中心にいるのは間違いないと思うから。で、バランスをとっているのはあのボーヤなんだろうな。そしてそのバランスを壊すのは……」
まりあが驚いて顔をあげると上島と目がかちりと合う。彼がにっこり微笑んだそのときだった。
「ボーヤ呼ばわりは聞き捨てなりませんね」
背後から響いてきた聞き覚えのある声にまりあは慌てて振り返った。
「さ、坂口くん?! どうしてここに?」
ワイシャツを腕まくりして急いでやってきたような息遣いの坂口がそこに立っていた。
軽く首を振り、そんな考えをいったん頭から追い出して残っていたパンをゆっくりと口に入れる。まりあが考え事をしながら咀嚼している間、食べ終えて皿の横にナイフとフォークを置いた上島が口を開いた。
「俺が思うに、きみたちってやっぱりマルな関係ではないと思うけどね。強いていえば三角が微妙に崩れてマルにみえるって感じかな」
「三角が崩れた……」
まりあが小さな声でそう呟くと上島が口元を緩めて言った。
「あ、悪い意味じゃないよ? まりあちゃんが三人の中心にいるのは間違いないと思うから。で、バランスをとっているのはあのボーヤなんだろうな。そしてそのバランスを壊すのは……」
まりあが驚いて顔をあげると上島と目がかちりと合う。彼がにっこり微笑んだそのときだった。
「ボーヤ呼ばわりは聞き捨てなりませんね」
背後から響いてきた聞き覚えのある声にまりあは慌てて振り返った。
「さ、坂口くん?! どうしてここに?」
ワイシャツを腕まくりして急いでやってきたような息遣いの坂口がそこに立っていた。