第223話
文字数 662文字
坂口は上茶谷にそう言われてもただ苦笑するだけだ。
「俺はただ、ルームシェアは三人それぞれメリットがあると思ったから提案しただけですよ」
坂口の言葉にまりあはメリット、と小さく呟いて坂口を見た。
「えーと、どのあたりにメリットがあるの?」
まりあが困惑気味にそう問いかけると彼はごくあっさりと答えた。
「先程聞いた話から考えても上茶谷さんは現状、まりあさんとふたりでは暮らせないですよね。上茶谷さん、違いますか?」
まりあはハッとして今度は上茶谷を見上げるけれど彼は黙ったままだ。坂口は構わず言葉を続ける。
「……でも俺もいるとなれば話は別です。それがまりあさんにとっての三人でルームシェアのメリット。三人なら駅チカの広い部屋を安く借りられますしね」
上茶谷はしばらく思案するように黙っていたけれど、顔をあげ坂口と視線をあわす。
「……あなたにとってのメリットは?」
上茶谷が静かにそうたずねると、坂口は半ば挑戦的にみえる笑みを浮かべてみせて答えた。
「このままでいたら、何も変わらないじゃないですか。それならとにかく行動してみる。その上での結果なら受け入れます。何もせずに諦めるのは俺の信条 に反するんで」
「私にもメリットがあるっていうのね?」
坂口は軽く肩をすくめたあと、ゆっくり頷いた。
「上茶谷さんのメリットは……俺が言わなくてもわかっていらっしゃるんじゃないかと思うんですが。違いますか?」
坂口と上茶谷が静かにお互いを検分するようにみつめる。数秒後上茶谷が吐息をついて、固まったその空気を動かすように小さな苦笑を口元に浮かべた。
「俺はただ、ルームシェアは三人それぞれメリットがあると思ったから提案しただけですよ」
坂口の言葉にまりあはメリット、と小さく呟いて坂口を見た。
「えーと、どのあたりにメリットがあるの?」
まりあが困惑気味にそう問いかけると彼はごくあっさりと答えた。
「先程聞いた話から考えても上茶谷さんは現状、まりあさんとふたりでは暮らせないですよね。上茶谷さん、違いますか?」
まりあはハッとして今度は上茶谷を見上げるけれど彼は黙ったままだ。坂口は構わず言葉を続ける。
「……でも俺もいるとなれば話は別です。それがまりあさんにとっての三人でルームシェアのメリット。三人なら駅チカの広い部屋を安く借りられますしね」
上茶谷はしばらく思案するように黙っていたけれど、顔をあげ坂口と視線をあわす。
「……あなたにとってのメリットは?」
上茶谷が静かにそうたずねると、坂口は半ば挑戦的にみえる笑みを浮かべてみせて答えた。
「このままでいたら、何も変わらないじゃないですか。それならとにかく行動してみる。その上での結果なら受け入れます。何もせずに諦めるのは俺の
「私にもメリットがあるっていうのね?」
坂口は軽く肩をすくめたあと、ゆっくり頷いた。
「上茶谷さんのメリットは……俺が言わなくてもわかっていらっしゃるんじゃないかと思うんですが。違いますか?」
坂口と上茶谷が静かにお互いを検分するようにみつめる。数秒後上茶谷が吐息をついて、固まったその空気を動かすように小さな苦笑を口元に浮かべた。