第147話
文字数 748文字
上島が眩しいものをみつめるように、せつなげに目を細めた。
「まりあを傷つけるようなことだけはしたくないと思ってる。絶対に」
上茶谷をしばらく見つめたあと上島はそっと視線を外して、ため息まじりの笑みを浮かべた。
「……まりあちゃんのこと、本当に大事に思っているんだな」
上茶谷はその言葉には答えず、ただそっと微笑んでみせただけだった。それからちらりと、まわりに視線を泳がせる。
「……それより蒼佑、そろそろ手を離しなさいよ。社長はガラス張りの応接室で何をしてるのだろうって、社員さんが何人もこっちを気にして見てるわよ」
上島は全く動じる様子もみせず、ニヤリと笑った。
「いいよ。みせつけてやるから。なんならキスしてみる?」
いたずらを企んでいる子供みたいに楽しそうにそういう。上茶谷は大きくため息をついてみせた。
「ホントにやめて」
苦笑しながら左手で彼の手を外すと上島がにこりと微笑んだ。得意の営業スマイルだ。
「とにかくもう一度座って頂けますか。これから私、上島蒼佑が渾身のプレゼンをさせていただきますから」
上島は姿勢を正してそう言う。上茶谷は肩を竦め、ソファにもう一度座る。それから手渡された資料を受け取り中身を確認した。上島らしい簡潔で、わかりやすい資料だと思う。しばらく視線をそこに落として読んでいると、上島が声をかけてきた。
「俺はやるべき事をやってお前の傍にいる。だから大悟も安心して頑張れ」
顔をあげる。穏やかな瞳をした上島と目があった。上茶谷の心情を理解し寄り添うような瞳。だからこそあえて上茶谷は首を振り軽い調子で答えた。
「……安心の意味がよくわからないし、何を頑張れっていうの?」
上島はくしゃりと目尻に小さな皺を寄せた。そういうところがやっぱり大悟だよなと心から楽しそうに笑った。
「まりあを傷つけるようなことだけはしたくないと思ってる。絶対に」
上茶谷をしばらく見つめたあと上島はそっと視線を外して、ため息まじりの笑みを浮かべた。
「……まりあちゃんのこと、本当に大事に思っているんだな」
上茶谷はその言葉には答えず、ただそっと微笑んでみせただけだった。それからちらりと、まわりに視線を泳がせる。
「……それより蒼佑、そろそろ手を離しなさいよ。社長はガラス張りの応接室で何をしてるのだろうって、社員さんが何人もこっちを気にして見てるわよ」
上島は全く動じる様子もみせず、ニヤリと笑った。
「いいよ。みせつけてやるから。なんならキスしてみる?」
いたずらを企んでいる子供みたいに楽しそうにそういう。上茶谷は大きくため息をついてみせた。
「ホントにやめて」
苦笑しながら左手で彼の手を外すと上島がにこりと微笑んだ。得意の営業スマイルだ。
「とにかくもう一度座って頂けますか。これから私、上島蒼佑が渾身のプレゼンをさせていただきますから」
上島は姿勢を正してそう言う。上茶谷は肩を竦め、ソファにもう一度座る。それから手渡された資料を受け取り中身を確認した。上島らしい簡潔で、わかりやすい資料だと思う。しばらく視線をそこに落として読んでいると、上島が声をかけてきた。
「俺はやるべき事をやってお前の傍にいる。だから大悟も安心して頑張れ」
顔をあげる。穏やかな瞳をした上島と目があった。上茶谷の心情を理解し寄り添うような瞳。だからこそあえて上茶谷は首を振り軽い調子で答えた。
「……安心の意味がよくわからないし、何を頑張れっていうの?」
上島はくしゃりと目尻に小さな皺を寄せた。そういうところがやっぱり大悟だよなと心から楽しそうに笑った。