第162話
文字数 749文字
「あれ?」
声をだして、まりあは初めて気づいた。ポロポロと涙をこぼしていたのだ。慌ててお手ふきで涙をふいて照れ笑いを浮かべた。
「ご、ごめん。全然泣くつもりなんかなくて。どうしちゃったんだろ」
坂口は労るような瞳でまりあをじっと見つめていた。なんだかいたたまれない気持ちになり慌てて言葉を舌に載せる。
「うん、坂口くんのいってることよくわかるし、そうなのかもしれないと思う。それでもなんていうのかな、……わたしとダイゴさんだけに通じる何かがあってそれが心地よくて。もしかしたらそう思ってるのはわたしだけ、かもしれないけど……」
それからまたボロっと涙が頬を滑りおちたから、アレおかしいなと言いながらお手ふきで涙をふきながら笑う。そんなまりあの様子をみていた坂口は、彼女が落ち着いた頃合をみてにこっと微笑んで明るい調子で言った。
「ところでその髪型、めちゃくちゃ似合ってますね」
「え?」
急に話題をかえた坂口を一瞬キョトンとした表情をして見つめたあと、まりあはゆっくり微笑んだ。
「あ、ありがとう。わたしもすごく気に入ってて」
「えーとあの人が、カミ、チャタニさんでしたっけ? その髪型にしたんですよね。同期の女の子も板野さんすごく可愛くなった、どこにある美容室に行ったんだろうっていってましたよ。やっぱり表参道とかですか?」
「えーと、青山かな」
首を少し傾げて照れたように微笑んだまりあを切なげにみつめたあと、坂口がボソリと呟いた。
「青山……。カミチャタニ……ダイゴ」
「へ? なに?」
坂口はゆっくりと首を振る。
「いえいえ、なんでも。このあと抹茶パフェ、食べにいきませんか? すごく旨いんです。今行けばラストオーダーに間に合いますから。絶対まりあさんも気に入ります」
そういって坂口はまたにっこりと微笑んだ。
声をだして、まりあは初めて気づいた。ポロポロと涙をこぼしていたのだ。慌ててお手ふきで涙をふいて照れ笑いを浮かべた。
「ご、ごめん。全然泣くつもりなんかなくて。どうしちゃったんだろ」
坂口は労るような瞳でまりあをじっと見つめていた。なんだかいたたまれない気持ちになり慌てて言葉を舌に載せる。
「うん、坂口くんのいってることよくわかるし、そうなのかもしれないと思う。それでもなんていうのかな、……わたしとダイゴさんだけに通じる何かがあってそれが心地よくて。もしかしたらそう思ってるのはわたしだけ、かもしれないけど……」
それからまたボロっと涙が頬を滑りおちたから、アレおかしいなと言いながらお手ふきで涙をふきながら笑う。そんなまりあの様子をみていた坂口は、彼女が落ち着いた頃合をみてにこっと微笑んで明るい調子で言った。
「ところでその髪型、めちゃくちゃ似合ってますね」
「え?」
急に話題をかえた坂口を一瞬キョトンとした表情をして見つめたあと、まりあはゆっくり微笑んだ。
「あ、ありがとう。わたしもすごく気に入ってて」
「えーとあの人が、カミ、チャタニさんでしたっけ? その髪型にしたんですよね。同期の女の子も板野さんすごく可愛くなった、どこにある美容室に行ったんだろうっていってましたよ。やっぱり表参道とかですか?」
「えーと、青山かな」
首を少し傾げて照れたように微笑んだまりあを切なげにみつめたあと、坂口がボソリと呟いた。
「青山……。カミチャタニ……ダイゴ」
「へ? なに?」
坂口はゆっくりと首を振る。
「いえいえ、なんでも。このあと抹茶パフェ、食べにいきませんか? すごく旨いんです。今行けばラストオーダーに間に合いますから。絶対まりあさんも気に入ります」
そういって坂口はまたにっこりと微笑んだ。