第209話
文字数 617文字
一方まりあも言葉を続けようと口を開きかけたまま動きが止まっていた。微かに緊張している気配が上茶谷にも伝わってくる。
「あの……えっと……」
その先がなかなか言えないようでまりあの視線は宙をさまよっている。
「なに? どうしたの?」
上茶谷はまりあと距離を置こうとしていたことなど一瞬忘れて、彼女を気遣うように覗き込んでたずねてしまう。それはまりあに対してだけおこる条件反射みたいなものだった。心配そうに見つめてくる彼に気づいたまりあは、意を決したように上茶谷をまっすぐ見つめて言った。
「あの……ダイゴさんが引越しするなら、引越し先の部屋に私も一緒に住まわせてください!」
「はい?」
上茶谷は力が抜けておかしな声がでてしまう。まりあのいっている言葉の意味がすぐにはいってこない。けれど彼女は勢いを得たように一気にしゃべりだした。
「家賃ももちろん半分払います! もともと荷物なんて少ないし処分すればもっと減らせますから。あ、一緒に住んだら、ダイゴさん仕事忙しいだろうから家事もできる限り頑張ります。簡単なご飯なら用意できますし、掃除は……あんまり得意じゃないけど、ダイゴさんがここはこうしてっていってくれれば修正して……」
「ちょ、ちょっと待って」
上茶谷が慌ててまりあの言葉を遮ると雲に半分隠されてしまったお日様のように、不安そうな顔をして黙った。
「まりあ」
「……はい」
上茶谷の呼びかけに、ひどく頼りない声で反応したのを見て彼は苦笑した。
「あの……えっと……」
その先がなかなか言えないようでまりあの視線は宙をさまよっている。
「なに? どうしたの?」
上茶谷はまりあと距離を置こうとしていたことなど一瞬忘れて、彼女を気遣うように覗き込んでたずねてしまう。それはまりあに対してだけおこる条件反射みたいなものだった。心配そうに見つめてくる彼に気づいたまりあは、意を決したように上茶谷をまっすぐ見つめて言った。
「あの……ダイゴさんが引越しするなら、引越し先の部屋に私も一緒に住まわせてください!」
「はい?」
上茶谷は力が抜けておかしな声がでてしまう。まりあのいっている言葉の意味がすぐにはいってこない。けれど彼女は勢いを得たように一気にしゃべりだした。
「家賃ももちろん半分払います! もともと荷物なんて少ないし処分すればもっと減らせますから。あ、一緒に住んだら、ダイゴさん仕事忙しいだろうから家事もできる限り頑張ります。簡単なご飯なら用意できますし、掃除は……あんまり得意じゃないけど、ダイゴさんがここはこうしてっていってくれれば修正して……」
「ちょ、ちょっと待って」
上茶谷が慌ててまりあの言葉を遮ると雲に半分隠されてしまったお日様のように、不安そうな顔をして黙った。
「まりあ」
「……はい」
上茶谷の呼びかけに、ひどく頼りない声で反応したのを見て彼は苦笑した。