第266話
文字数 589文字
「まりあが坂口さんに惹かれていくのを横で見ているほうが余程、心を乱されたわね。黙って見守っているのが正解なんだろうって頭では理解していたのにそれでも……、まりあが欲しいという気持ちは抑えられなくなってた」
頭の上に置かれた手がすべりまりあの頬にあてられた。視線がさらに濃く絡みあう。時間が止まりそうなほどゆっくりと流れる。
「男だとか女だという垣根を超えて、私はまりあという
まりあのなかで時が止まる。目の前にいる人をただ見つめることしかできない。
「だけどまりあが許してくれるのであれば……私にできるやり方でまりあを愛したい。傍にいたい。それを伝えたかったの、どうしても」
まりあの背骨から腰にかけて電気みたいな痺れが駆け抜け震える。喉に何かが詰まったように言葉がでない。代わりに両手を上茶谷の背中にまわし、彼のシャツをぎゅっと握りしめて頷く。上茶谷は安堵したように吐息をついてまりあを抱きしめた。
「よかった」
彼の温もりに包まれているとまりあの心は凪いでいく。二人の関係は不安定で脆い。オセロの駒のように一気にひっくり返っていきなりゲームオーバーになるかもしれない。そう考えると心がひりついて痛くなるのに、その痛みにすら甘さがしみ込んでくる。まりあはたまらなくなって呟く。
「好きすぎて苦しい……です」
頭の上に置かれた手がすべりまりあの頬にあてられた。視線がさらに濃く絡みあう。時間が止まりそうなほどゆっくりと流れる。
「男だとか女だという垣根を超えて、私はまりあという
人
を好きになってしまったのね。坂口さんや他の男のようにはまりあを愛せないのに」まりあのなかで時が止まる。目の前にいる人をただ見つめることしかできない。
「だけどまりあが許してくれるのであれば……私にできるやり方でまりあを愛したい。傍にいたい。それを伝えたかったの、どうしても」
まりあの背骨から腰にかけて電気みたいな痺れが駆け抜け震える。喉に何かが詰まったように言葉がでない。代わりに両手を上茶谷の背中にまわし、彼のシャツをぎゅっと握りしめて頷く。上茶谷は安堵したように吐息をついてまりあを抱きしめた。
「よかった」
彼の温もりに包まれているとまりあの心は凪いでいく。二人の関係は不安定で脆い。オセロの駒のように一気にひっくり返っていきなりゲームオーバーになるかもしれない。そう考えると心がひりついて痛くなるのに、その痛みにすら甘さがしみ込んでくる。まりあはたまらなくなって呟く。
「好きすぎて苦しい……です」