第130話
文字数 627文字
「……だって本当に驚いていますから」
口を尖らせてそういうまりあを、上茶谷は面白そうに見つめたあと、またぎゅっと抱きしめた。
「……だから私、まりあといるとすごく落ち着くのよ」
そういって上茶谷は、すうと吸い込んだ息をゆっくりと吐いた。吐息がまりあの頬を掠めて、どきりとする。彼の声、吐息、温かさ。上茶谷の言葉に嘘はない。確かにそれがまりあに伝わってくる。そうしてやっぱりまた考えてしまうのだ。上茶谷とのこの関係は一体なんと呼べばいいのだろうと。
恋人、という感じとはほんのすこしテイストが違うような気がする。かと言って友だちといってしまうとあまりにも物足りない。もっと深いなにか。まりあはそこまで考えて、抱きしめられているとまた、懐かしいような切ない感じが胸のあたりから湧き上がってくるのを感じた。
「……あ」
そう呟いたまりあを、顔をあげて前髪の間から、上茶谷が見つめてきた。
「どうかした?」
「あ、あの。こうしていたら……思い出したんですけど」
上茶谷は黙って静かに見つめてきたから、まりあもそのまま話し続ける。
「わたし、小さい頃はすごいパパっ子だったんです。十歳くらいまでこうして父と一緒に寝るのが好きだったなあって」
その言葉に、上茶谷が目尻を下げて微笑んだ。
「お父さんみたいって言われたの、初めてかも」
「あ! ごめんなさい。ダイゴさんはお父さんみたいじゃないですよ? なんていえばいいかなあ……」
まりあがブツブツそう言うと上茶谷はくすりと笑った。
口を尖らせてそういうまりあを、上茶谷は面白そうに見つめたあと、またぎゅっと抱きしめた。
「……だから私、まりあといるとすごく落ち着くのよ」
そういって上茶谷は、すうと吸い込んだ息をゆっくりと吐いた。吐息がまりあの頬を掠めて、どきりとする。彼の声、吐息、温かさ。上茶谷の言葉に嘘はない。確かにそれがまりあに伝わってくる。そうしてやっぱりまた考えてしまうのだ。上茶谷とのこの関係は一体なんと呼べばいいのだろうと。
恋人、という感じとはほんのすこしテイストが違うような気がする。かと言って友だちといってしまうとあまりにも物足りない。もっと深いなにか。まりあはそこまで考えて、抱きしめられているとまた、懐かしいような切ない感じが胸のあたりから湧き上がってくるのを感じた。
「……あ」
そう呟いたまりあを、顔をあげて前髪の間から、上茶谷が見つめてきた。
「どうかした?」
「あ、あの。こうしていたら……思い出したんですけど」
上茶谷は黙って静かに見つめてきたから、まりあもそのまま話し続ける。
「わたし、小さい頃はすごいパパっ子だったんです。十歳くらいまでこうして父と一緒に寝るのが好きだったなあって」
その言葉に、上茶谷が目尻を下げて微笑んだ。
「お父さんみたいって言われたの、初めてかも」
「あ! ごめんなさい。ダイゴさんはお父さんみたいじゃないですよ? なんていえばいいかなあ……」
まりあがブツブツそう言うと上茶谷はくすりと笑った。