第11話
文字数 999文字
言うことがどこまでも古風でまりあは少し驚いてしまう。
「でも一緒に祝ってくれるっていったのはあなたですよ? そもそもあなたがヘンなことをしなければ部屋にはいっても問題ないですよね? ……それともわたしに欲情したりするんですか?」
疑いを含んだ視線をじとりと向けると、彼はそれを跳ね返すように目を三角にして睨んできた。
「はあ?! あなたみたいな色気のないお子様に欲情なんてしません! そもそもなんで私が……」
そこまで言ったところで彼は口をつぐみ大きくため息をついた。
「とにかくね。色々気をつけておきなさいってことよ。何か起きたらどうするの」
「いや、わたしだってあなたがそんなことしそうもないって判断して言ってます! それより色気のないお子様って……色気がないのは否定できないけどわたし、今日で三十一ですよ。あなたこそわたしより年下でしょう?」
どうだ! といわんばかりにまりあが胸を張る。すると彼はまた大きく瞳を見開いたあと皮肉っぽく微笑んだ。
「ちょっとなめないでくれる? こうみえて私、今年三十七だけど。六つ上ね」
「はあああ?! 三十七?!」
「ていうか結構歳いってるのね。もっと子供かと思ったけど」
「同じセリフ、そのまんまお返ししますから!」
その後も二人してああでもないこうでもないと言いあった結果、彼がまりあの部屋の玄関先にすわって、二人でケーキを食べることに落ち着いた。
「ここまで入るなら中に入ればいいと思うんですけど」
切り分けたケーキとコーヒーをお盆に載せて、玄関前の廊下に置く。狭い玄関に長い脚を折りたたんで無理やりすわっている彼が窮屈そうに振り返った。
「ココが妥協点なんだからココでいいの」
ケーキの皿を受け取りながら視線を部屋のほうにちらりと向けて苦笑した。
「……それに戦いの爪痕が残ってるし」
まるめた雑誌、あちこちクリームがついた床、散らばったティッシュ。そんな状態の部屋に確かに入れるわけにもいかなかったかもしれない。まりあもぺたりと廊下に座り込んでうなづいた。
「……そうですね。死闘でしたから」
そういって重々しく頷くと、彼はまじまじとまりあを見てふき出したからまりあも一緒に笑ってしまう。一人なら気が滅入って、Gがダイヴしたケーキなんて食べる気にはなれなかっただろう。けれどさきほどまで知りもしなかった隣人と二人なら、まあ食べてもいいかという気持ちになるから不思議だ。
「でも一緒に祝ってくれるっていったのはあなたですよ? そもそもあなたがヘンなことをしなければ部屋にはいっても問題ないですよね? ……それともわたしに欲情したりするんですか?」
疑いを含んだ視線をじとりと向けると、彼はそれを跳ね返すように目を三角にして睨んできた。
「はあ?! あなたみたいな色気のないお子様に欲情なんてしません! そもそもなんで私が……」
そこまで言ったところで彼は口をつぐみ大きくため息をついた。
「とにかくね。色々気をつけておきなさいってことよ。何か起きたらどうするの」
「いや、わたしだってあなたがそんなことしそうもないって判断して言ってます! それより色気のないお子様って……色気がないのは否定できないけどわたし、今日で三十一ですよ。あなたこそわたしより年下でしょう?」
どうだ! といわんばかりにまりあが胸を張る。すると彼はまた大きく瞳を見開いたあと皮肉っぽく微笑んだ。
「ちょっとなめないでくれる? こうみえて私、今年三十七だけど。六つ上ね」
「はあああ?! 三十七?!」
「ていうか結構歳いってるのね。もっと子供かと思ったけど」
「同じセリフ、そのまんまお返ししますから!」
その後も二人してああでもないこうでもないと言いあった結果、彼がまりあの部屋の玄関先にすわって、二人でケーキを食べることに落ち着いた。
「ここまで入るなら中に入ればいいと思うんですけど」
切り分けたケーキとコーヒーをお盆に載せて、玄関前の廊下に置く。狭い玄関に長い脚を折りたたんで無理やりすわっている彼が窮屈そうに振り返った。
「ココが妥協点なんだからココでいいの」
ケーキの皿を受け取りながら視線を部屋のほうにちらりと向けて苦笑した。
「……それに戦いの爪痕が残ってるし」
まるめた雑誌、あちこちクリームがついた床、散らばったティッシュ。そんな状態の部屋に確かに入れるわけにもいかなかったかもしれない。まりあもぺたりと廊下に座り込んでうなづいた。
「……そうですね。死闘でしたから」
そういって重々しく頷くと、彼はまじまじとまりあを見てふき出したからまりあも一緒に笑ってしまう。一人なら気が滅入って、Gがダイヴしたケーキなんて食べる気にはなれなかっただろう。けれどさきほどまで知りもしなかった隣人と二人なら、まあ食べてもいいかという気持ちになるから不思議だ。