第59話
文字数 745文字
まりあは淡いブルーの部屋着らしいパーカーとスウェットのパンツを履いている。モノトーンの部屋に迷い込んだ不思議の国のアリスならぬまりあだと上茶谷は微笑んだ。
「リラックスしたカッコでいいわね」
「軽くシャワーを浴びて顔も洗ってきちゃいましたから。髪の毛は明日の朝洗えばいいし。これでもう、なんの気兼ねもなく食べて寝れるわけですよ」
スッピンの肌をピカピカさせてまりあが真面目な顔でいう。色気もへったくれもない。一応男の部屋にいるというのに警戒心もゼロ。しかもこれから食べるのは餃子だ。隣人関係を遥かに超えて親戚の家に遊びにきた子供みたいだと上茶谷は笑いそうになる。
そうしてまりあは週末に作って冷凍しておいたという大量の餃子を、持ち込んだフライパンに並べてガンガン焼き始めた。自分の部屋がまるで中華料理店みたいな音と匂いに支配されていく。上茶谷は皿の準備をしながらそれを見ていたら、なんだか不思議な気持ちになる。生活感溢れるこの光景。若い頃なら斜に構えて格好が悪いと思っただろう。けれど今は誰かが自分の部屋にいて、食事を支度してくれているこの懐かしい光景が心地いい。
「かんぱーい」
カウチソファの前にあるローテーブルの上に、こんがり焼けた餃子が載った大皿と缶ビール数本。上茶谷宅の冷蔵庫をしばらく占領していたビール缶はキンキンに冷えている。ビールを注いだグラスの角をまりあのと合わせてゴクゴク飲む。冷たいビールが喉元を落ちていく心地よさに上茶谷は思わず目を細めた。
「ああ、美味しい」
まりあもウンウンと頷く。
「ビールと餃子って至高の組み合わせですよね」
そういって餃子をどうぞどうぞと上茶谷に勧める。
「まりあ、餃子も作れるのねえ」
上茶谷が感心したようにそういうと、まりあは照れたように笑った。
「リラックスしたカッコでいいわね」
「軽くシャワーを浴びて顔も洗ってきちゃいましたから。髪の毛は明日の朝洗えばいいし。これでもう、なんの気兼ねもなく食べて寝れるわけですよ」
スッピンの肌をピカピカさせてまりあが真面目な顔でいう。色気もへったくれもない。一応男の部屋にいるというのに警戒心もゼロ。しかもこれから食べるのは餃子だ。隣人関係を遥かに超えて親戚の家に遊びにきた子供みたいだと上茶谷は笑いそうになる。
そうしてまりあは週末に作って冷凍しておいたという大量の餃子を、持ち込んだフライパンに並べてガンガン焼き始めた。自分の部屋がまるで中華料理店みたいな音と匂いに支配されていく。上茶谷は皿の準備をしながらそれを見ていたら、なんだか不思議な気持ちになる。生活感溢れるこの光景。若い頃なら斜に構えて格好が悪いと思っただろう。けれど今は誰かが自分の部屋にいて、食事を支度してくれているこの懐かしい光景が心地いい。
「かんぱーい」
カウチソファの前にあるローテーブルの上に、こんがり焼けた餃子が載った大皿と缶ビール数本。上茶谷宅の冷蔵庫をしばらく占領していたビール缶はキンキンに冷えている。ビールを注いだグラスの角をまりあのと合わせてゴクゴク飲む。冷たいビールが喉元を落ちていく心地よさに上茶谷は思わず目を細めた。
「ああ、美味しい」
まりあもウンウンと頷く。
「ビールと餃子って至高の組み合わせですよね」
そういって餃子をどうぞどうぞと上茶谷に勧める。
「まりあ、餃子も作れるのねえ」
上茶谷が感心したようにそういうと、まりあは照れたように笑った。