第268話
文字数 558文字
「美味しそうよ?」
上茶谷がにっこり笑って差し出したメニュー表をまりあは口を尖らせて受け取る。
「そうやって誤魔化そうとしてますよね。わかってますから……あ、でもホントに美味しそう」
メニュー表は写真つきでサンドイッチやハンバーガー、天丼まである。空腹感からというよりは、どこまでも優しくみつめてくる人の視線に照れてしまって、まりあはそこにあるメニューを必要以上に凝視してしまう。
「まりあ」
穏やかな声が彼女の顔をあげさせる。近づいてきた唇がそっと唇に落ちたのを感じて目を閉じる。重ねられた感触の優しさ、甘さ。心臓がとんでもない速さで動き出す。全身の細胞が鼓動に合わせて波打ってしまいそうで、まりあは微かに眉を寄せてしまう。顔がそっと離れて。それでも触れてしまいそうな距離で上茶谷の唇が動く気配がしたからゆっくりと目を開けた。
「ルームサービス、どうする?」
いたずらっ子みたいな瞳でそう尋ねてきた彼に、自分の頬が真っ赤になっているのを確信する。まりあはキッパリと答えた。
「もちろん頼みます!」
しばらく見つめあったあと、どちらからともなくクスクスと二人で笑いあう。そのまま上茶谷がまりあの首の付け根に顔をうずめて呟いた。
「まりあ、好きよ。本当に」
吐息と一緒に囁かれた小さな声。まりあも泣き笑いをしながら何度も頷いた。
上茶谷がにっこり笑って差し出したメニュー表をまりあは口を尖らせて受け取る。
「そうやって誤魔化そうとしてますよね。わかってますから……あ、でもホントに美味しそう」
メニュー表は写真つきでサンドイッチやハンバーガー、天丼まである。空腹感からというよりは、どこまでも優しくみつめてくる人の視線に照れてしまって、まりあはそこにあるメニューを必要以上に凝視してしまう。
「まりあ」
穏やかな声が彼女の顔をあげさせる。近づいてきた唇がそっと唇に落ちたのを感じて目を閉じる。重ねられた感触の優しさ、甘さ。心臓がとんでもない速さで動き出す。全身の細胞が鼓動に合わせて波打ってしまいそうで、まりあは微かに眉を寄せてしまう。顔がそっと離れて。それでも触れてしまいそうな距離で上茶谷の唇が動く気配がしたからゆっくりと目を開けた。
「ルームサービス、どうする?」
いたずらっ子みたいな瞳でそう尋ねてきた彼に、自分の頬が真っ赤になっているのを確信する。まりあはキッパリと答えた。
「もちろん頼みます!」
しばらく見つめあったあと、どちらからともなくクスクスと二人で笑いあう。そのまま上茶谷がまりあの首の付け根に顔をうずめて呟いた。
「まりあ、好きよ。本当に」
吐息と一緒に囁かれた小さな声。まりあも泣き笑いをしながら何度も頷いた。