第42話
文字数 766文字
初対面やそれに近い女の子に、上茶谷のお店にいきたい切って欲しいとねだられた場合、後々の面倒事防止のため上茶谷自身が予約をいれたりせず、予約してみてねとだけいうことにしていた。まりあからも切って欲しそうな気配は察したものの、初対面だったのでいつもどおりそう言ったのだ。
(それがその翌日に、自分から誘おうとしてるなんてね)
上茶谷口元を緩めると、まりあに向かって手を伸ばした。
「ちょっと触らせてもらっていい?」
そう断ってから一房、まりあの髪の毛を摘んで髪質をチェックする。髪自体は痛みが少ないし、デジタルパーマをかけても綺麗なウェーブがでるだろう。上茶谷は頷く。
「ね、まりあ」
まりあの顔に視線を移すと最大級に顔を赤くしていたから思わず目を見開いた。
「ちょっと、顔真っ赤!」
上茶谷が髪の毛から慌てて手を離すと、まりあはひどく困惑したように口をへの字にした。
「いや、だれだってこんな綺麗な顔で至近距離から覗き込まれたら困惑します!」
普段は顔のことを言われるのは好きではない。けれどまりあにそう言われるのは嫌ではなかった。むしろからかいたくなってしまう。上茶谷はニヤリと笑う。
「なに意識してるの」
「してません! ほら、なんとかの犬の条件反射みたいなものです」
「パブロフの犬?」
「そう、それ!」
目を丸くして大きく頷くまりあをみて、また吹き出してしまう。
「まあ、なんでもいいけど。とにかくまりあが嫌じゃなかったら私に切らせて。うどんのお礼よ」
まりあはさらに目を丸くした。
「だって予約でいっぱい……」
「ああ。雑誌とかなにかの撮影がはいるかもしれないから、予備で予約をクローズしてる時間帯もあるの。まりあの都合も聞いてスケジュールが合いそうな時切ってあげるけど、どう?」
まりあはぼおっとした表情から一気にぱあっと満面の笑みを浮かべた。
(それがその翌日に、自分から誘おうとしてるなんてね)
上茶谷口元を緩めると、まりあに向かって手を伸ばした。
「ちょっと触らせてもらっていい?」
そう断ってから一房、まりあの髪の毛を摘んで髪質をチェックする。髪自体は痛みが少ないし、デジタルパーマをかけても綺麗なウェーブがでるだろう。上茶谷は頷く。
「ね、まりあ」
まりあの顔に視線を移すと最大級に顔を赤くしていたから思わず目を見開いた。
「ちょっと、顔真っ赤!」
上茶谷が髪の毛から慌てて手を離すと、まりあはひどく困惑したように口をへの字にした。
「いや、だれだってこんな綺麗な顔で至近距離から覗き込まれたら困惑します!」
普段は顔のことを言われるのは好きではない。けれどまりあにそう言われるのは嫌ではなかった。むしろからかいたくなってしまう。上茶谷はニヤリと笑う。
「なに意識してるの」
「してません! ほら、なんとかの犬の条件反射みたいなものです」
「パブロフの犬?」
「そう、それ!」
目を丸くして大きく頷くまりあをみて、また吹き出してしまう。
「まあ、なんでもいいけど。とにかくまりあが嫌じゃなかったら私に切らせて。うどんのお礼よ」
まりあはさらに目を丸くした。
「だって予約でいっぱい……」
「ああ。雑誌とかなにかの撮影がはいるかもしれないから、予備で予約をクローズしてる時間帯もあるの。まりあの都合も聞いてスケジュールが合いそうな時切ってあげるけど、どう?」
まりあはぼおっとした表情から一気にぱあっと満面の笑みを浮かべた。