「管弦楽のための協奏曲」 バルトーク

文字数 1,375文字

<タイトル>

管弦楽のための協奏曲

<作曲者>

ベラ・バルトーク

<おすすめ盤>

ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

https://open.spotify.com/intl-ja/album/317b74rpNBO2uhaJFyMaxJ?si=LmRN55-sT1yrB69SJejOkQ

サー・ゲオルグ・ショルティ(指揮)
シカゴ交響楽団

https://open.spotify.com/intl-ja/album/2Ev0JwFyUqjQ8xpXVmuDzt?si=few6HGL2TxGqYkRsMZP2xA

<解説>

 ハンガリー出身の作曲家バルトークによるオーケストラ楽曲であり、彼の作品の中でももっとも演奏機会の多い代表作です。

 「オーケストラのためのコンチェルト」なので、特に日本では「オケコン」の愛称で親しまれています。

 楽器の各セクションがそれぞれソロパートを担当する構成になっていることから、このタイトルになっているというわけです。

 全5楽章であり、晦渋なバルトークの作品群にあって、この曲はかなり聴きやすくなっております。

 もちろん、そうなるように彼が作曲した経緯があったりするのですが。

 作曲は1943年になりますが、当時アメリカへ移住していたバルトークは、その求道者然とした性格が災いし、生活面でも困窮し、精神面でも疲弊しきっていました。

 創作活動に対して必要以上の対価は求めないスタンスを取っていたからです。

 いっぽうボストン交響楽団の音楽監督であるセルゲイ・クーセヴィツキーは、同楽団への就任20周年記念を迎え、何かイベントを企画したいと模索していました。

 そこへバルトークと交友の深いヴァイオリニストのヨーゼフ・シゲティや、指揮者のフリッツ・ライナーから彼の状況を耳にし、何とかして援助ができないかと申し出を受けたのです。

 そこでクーセヴィツキーは上記イベントの件を利用し、大衆にも理解しやすいポピュラーな作品の作曲を、バルトークに委嘱したという流れになります。

 受けのよい音楽を作ることに、彼は相当しぶったようですが、結局はこれに合意しました。

 結果として、わかりやすくかつバルトークがこれまで培ってきた書法が凝縮されたこの「オケコン」が完成したのです。

 この曲は翌1944年、セルゲイ・クーセヴィツキーの指揮とボストン交響楽団によって初演されました。

 演奏会は大成功を収め、バルトークは一躍時の人となります。

 創作意欲も取り戻した彼でしたが、さらに翌1945年、作曲中だったピアノ協奏曲第3番があと数十小節で完成するというところ、罹患していた白血病の急性化により、ブルックリンの病院で死去しました。

 いかにも表現者然とした先生の生きざまには、どこかあこがれさえいだく気持ちがあります。

 いつものセリフですが、虎は死して皮を残すですね。

 かくありたいものです。

 おすすめは比較的に有名なカラヤン盤とショルティ盤を挙げておきますが、人気曲だけに名盤はいくらでもあるので、いつものように手にとりやすいものをぜひ。

 YouTubeにも各アーティストによるライブの公式動画がたくさんあります。

 ショスタコーヴィチやマーラーなどのパロディもあり、そちらも知っている方にはさらに楽しめる傑作になっております。
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