「水上の音楽」 ヘンデル

文字数 1,124文字

<タイトル>

水上の音楽

<作曲者>

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル

<おすすめ盤>

トレヴァー・ピノック(指揮)
イングリッシュ・コンサート

https://open.spotify.com/intl-ja/album/2kC8LvaJSMvohgFefYYp8s?si=kOR8G-kISHOSAKQXL63WgQ

<解説>

 ドイツ出身の作曲家・オルガニストであり、のちにイギリスへ帰化したヘンデルの代表曲のひとつとなるオーケストラ作品です。

 「水上の音楽」は第1~3組曲までの存在が確認されており、現在も楽譜の発掘や補筆などの学術研究がおこなわれています。

 なんといっても一番有名なのは、第2組曲の第2曲である「アラ・ホーン・パイプ」でしょう。

 たとえばテレビの料理番組などでは、高確率でBGMに使用される有名曲です。

 聴けば「ああ、これか」となると思います。

 この曲にまつわるエピソードも有名で、だいたい以下のとおりになります。

 1710年の当時、ヘンデルはドイツのハノーファー選帝侯の宮廷楽長の任に就いていました。

 しかし1712年以降、彼は選帝侯からの帰国命令にはしたがわず、すっかりロンドンに定住していたのです。

 ところが1714年、ハノーファー選帝侯はイギリスへと迎え入れられ、国王ジョージ1世となってしまいました。

 まるで漫画のようなピンチ展開ですね。

 「やっ、べえええええっ!」とヘンデルが思ったのかどうかはともかく、彼はこの不義理に対する打開策を考えました。

 すなわち、ジョージ1世との和解を意図し「水上の音楽」を作曲、1715年に開催されたテムズ川における王族の舟遊びの場において、この曲を大々的に演奏したというわけです。

 しかしこのエピソードの信憑性も、現在の研究では疑われているらしく、実際には1717年におこなわれた舟遊びのときだったという説もあるとのこと。

 いずれにせよ「水上の音楽」は複数回、舟遊びの際に演奏された記録が確認されています。

 ちなみヘンデルは、同じくドイツの作曲家であるヨハン・セバスティアン・バッハと同い年生まれとなります。

 同じ眼科医にかかって二人とも失明してしまったというお話も割と有名です。

 クラシック音楽はネタの宝庫、と言ってはお叱りを受けてしまいそうですが。

 おすすめはバロック時代などの音楽を、当時使用されていた楽器やスタイルで演奏することに定評のあるピノックの録音です。

 過不足なくきびきびとした演奏で、聴くとパワーをもらえる気がします。

 ほかにも良い音源はたくさんあるはずですので、例により取り出しやすいものを。

 当時のヘンデルの気持ちを想像すると、案外緊迫感のある音楽に聴こえるかもしれません。
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