ピアノ・ソナタ 第17番 「テンペスト」 ベートーヴェン

文字数 768文字

<タイトル>

ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調 作品31-2 「テンペスト」

<作曲者>

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

<おすすめCD>

スヴャトスラフ・リヒテル

<解説>

 作曲された時期としてはちょうど、ベートーヴェンが難聴に(さいな)まれはじめたときであり、有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」が書かれたのもこのころです。

 友人に当てた手紙には、「自分はこれまでの作品に満足していない。新たな道を進むつもりだ」との趣旨がつづられています。

 サブタイトルの由来については、ベートーヴェンの弟子であるアントン・シントラーが、この曲のイメージするところを師にたずねたところ、「シェイクスピアの『テンペスト』を読め」と語ったからだとか。

 シントラーは「捏造魔(ねつぞうま)」として知られており、師ベートーヴェンを英雄化するため、けっこうな数の偽エピソードを作っています。

 この事実は本人による述懐によって明らかになっているのですが、この「テンペスト」の由来もあやしいものです。

 しかしながら、「テンペスト」は「嵐」の意味であり、このソナタの曲調はいかにも「嵐」っぽいですから、ある意味ではふさわしいのかもしれません。

 こういうことにうるさいファンも多いようですが。

 全3楽章のすべてがソナタ形式で書かれているのが興味深いですし、単純にかっこいい音楽です。

 天気が悪いときにかけると、なかなかマッチします。

 おすすめしたピアニストは、旧ソ連オデッサ出身で、天才の名をほしいままにしたリヒテルです。

 数種類の録音がありますが、「大木をなぎ倒すよう」と揶揄(やゆ)された彼の芸風のとおり、どれもパワフルで聴きごたえがあります。

 嵐の晩などにかけてみてはいかがでしょうか。
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