「交響曲 第9番」 ブルックナー

文字数 866文字

<タイトル>

交響曲 第9番 ニ短調

<作曲者>

アントン・ブルックナー

<おすすめ盤>

カール・シューリヒト(指揮)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

<解説>

 オーストリア・ウィーンの作曲家ブルックナーによる最後の交響曲であり、彼が他界したことにより未完の絶筆となった作品です。

 実際には第3楽章までが完成されており、最後に来る第4楽章の作曲中に、ブルックナーは亡くなった形になります。

 その第4楽章を補筆した補完版(エリアフ・インバル指揮の録音など)も存在しますが、多くのブルックナー・ファンも言うように、この交響曲は3楽章までで「完成している」ような気がします。

 聴いてもらえばわかるというのは他力本願ですが、あの第3楽章を一度味わってしまうと、そう思ってしまう気持ちも大いにわかるのです。

 あえて形容するのなら「涅槃の音楽」でしょうか。

 聴き終えると「もう何もいらない」という精神状態になること必定です。

 彼のソナタ形式の最高傑作と言えそうな第1楽章のコーダ(終わりの部分)では、ファンたちが「ビッグ・バン」と通称する壮大なフレーズを耳にすることができます。

 スケルツォの第2楽章も、荒々しいメインテーマから、打って変わって静謐なトリオ(中間部分)にぞわっとします。

 「怪獣映画」と揶揄されもする楽章ですが、それもまたよしではないでしょうか。

 ブルックナーは敬虔なキリスト教徒であり、一説にはこの未完の傑作交響曲は、「愛してやまない神に捧げた」とも言われています。

 それはともかく、カタルシスという意味では少なくとも、このナンバーに並ぶ楽曲はそうそうないような気すらします。

 未完ということもあり、物理的な演奏時間は1時間程度と、この時代の交響曲としては短いほうです。

 一度でよいのでこの世界を堪能してみてはいかがでしょうか。

 おすすめは名盤として語り継がれているシューリヒトの音源です。

 ほかにもたくさんのマエストロの演奏が存在します。

 人生で一度は山に登ってみたいではありませんが、このK2へ登頂してみるのも悪くないかと思います。
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