交響曲 第6番 「悲劇的」 マーラー

文字数 1,335文字

<タイトル>

交響曲 第6番 イ短調 「悲劇的」

<作曲者>

グスタフ・マーラー

<おすすめ盤>

サー・ジョン・バルビローリ(指揮)

ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

<解説>

 オーストリア(当時)の作曲家グスタフ・マーラーの、番号にして6番目の交響曲です。

 「悲劇的」というサブタイトルは、「破滅に向かって突き進む人類の悲劇を描写した」というエピソードから来ていますが、これはグスタフを英雄視する妻・アルマによる捏造であるとも言われます。

 マーラー先生は副題をつけられるのを嫌悪するタイプの作曲家でしたから。

 内容が限定されてしまうとの危惧からですね。

 ファンの中にもサブタイトルを忌み嫌う派閥もあるようです。

 個人的には想像力をかき立てられるので、あってもなくてもよい派なのですが。

 全4楽章という古典的な交響曲のスタイルに則っており、第2楽章と第3楽章の順番には今日でも議論が絶えません。

 クラヲタの方なら、「アンスケ」か「スケアン」かでもめるところですが、マニアックな話題なのでよしておきましょう。

 「アンダンテ」と「スケルツォ」の略になりますので、念のため。

 第1楽章の行進曲風の主題は、マーラーの師であるアントン・ブルックナーの交響曲第1番から来ていると言われ、続く第2主題ではリヒャルト・ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」から「愛の死」にそっくりのテーマが提示されます。

 これがいわゆる「アルマの主題」ですね。

 パロディだとすると、どういう含みがあったのか……

 ちなみに史実によると、この第6交響曲が作曲されたのは、彼の人生の中で一番の充実した時期であったそうです。

 「対外的には」ですから、内情については推し量ることができませんね。

 この曲は私にとって「心が折れそうになったときの最強のプレイリスト」であり、本当に精神的に追いつめられたときの「伝家の宝刀」として取ってあるのです。

 いったい何度、窮地から救われたことか……

 聴き方としては第4楽章だけを取り出すことが多く、これだけで30分もある大曲なのですが、もう、ヤバいのなんのって。

 破滅に向かって突き進む「英雄」、すなわち作曲したマーラー自身が、ムチやハンマーで打たれるさまが描写されます。

 ムチは「木の板」を叩くのですが、ハンマーはマジもんの木槌を振り下ろします。

 演奏によってこの「ハンマーの音色の違い」を楽しむリスナーも多いです。

 楽譜では合計3回、振り下ろされるのですが、最新のバージョンでは2回になっているようです。

 これまたマーラー自身が、「3回目鳴らしたら、俺マジで死ぬんじゃね?」とか当時考えていたからだという、アルマの作り話説のあるエピソードに基づいているとかいないとか。

 答えは先生の頭の中にあるわけですが、永遠に封印されてしまいましたから……

 それも含めて魅力のある方なのだと思います。

 おすすめはバルビローリの録音ですが、とにかくゆっくりでヘビーな演奏になっております。

 人によってはイライラするかも?

 私はもう、これがないと詰みゲーですが。

 全編で2時間にも迫ろうかという大曲ですが、勇気のある方はよろしければ、ご一聴ください。

 マーラー先生が封印した光景が拝めるかもしれません。
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