「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」 マーラー

文字数 794文字

<タイトル>

魚に説教するパドヴァの聖アントニウス

<作曲者>

グスタフ・マーラー

<解説>

 「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」は、ルートヴィヒ・アヒム・フォン・アルニムとクレメンス・ブレンターノが収集したドイツの民衆歌集の詩集「少年の魔法の角笛」に収められている詩の一つです。

 グスタフ・マーラーが音楽をつけたことで知られており、彼はその後、交響曲第2番「復活」の第3楽章にも、そのフレーズを使用しています。

 詩の内容はだいたい以下のとおりです。

 聖アントニウスが魚たちを集めて説教(説法)をし、魚たちはありがたい話にとても喜んだが、家に帰るとみんな忘れてしまった。

 とても比喩的な表現であり、現実社会への皮肉が込められているような気がします。

 たとえ大切なことがあっても、みんなすぐに忘れてしまう。

 現代にも通じる感じがするのは、それが不変的な事柄だからかもしれません。

 専門的な教育を受けたわけではない民衆の作品を発表することに、当時はずいぶん物議をかもしたそうです。

 現代におけるネット上での小説投稿や、いわゆるアウトサイダー・アートに対する一般的な見方に近しいような気もして、なんだか考えさせられます。

 個人的には、表現をアカデミズムの世界にだけ封印する行為はいかがなものかと思うのですが、まあ、チラシの裏と黙殺されるのがせいぜいですね(汗)

 マーラー先生がこの詩に注目したのは、生意気ですがそういう気持ちもあったからなのではないかと思ったりもします。

 どんなに小さな存在にも光を当てようとする先生の救済願望が、あるいはそうさせたのか……

 先生、ついていきます(汗)

 マーラーのような人物が、今世にもいたら素敵ですよね。

 偉大な表現者とはかくやと思ってしまいます。

 おすすめはあえて指定しませんが、男声・女声問わず名録音がひしめいているナンバーですので、取り出しやすいものをぜひ。
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