「結婚行進曲」 メンデルスゾーン

文字数 1,153文字

<タイトル>

結婚行進曲 ~ 劇付随音楽 「夏の夜の夢」 作品61 から

<作曲者>

フェリックス・メンデルスゾーン

<おすすめ盤>

オットー・クレンペラー(指揮)

フィルハーモニア管弦楽団&合唱団

<解説>

 ドイツ・ロマン派の作曲家メンデルスゾーンが書いた、あまりにも有名な一曲です。

 おそらくタイトルだけで、メロディが頭に浮かぶ方も多いでしょう。

 結婚式の定番曲として、ワーグナーの「婚礼の合唱」(楽劇「ローエングリン」第3幕から)と並び、二大巨頭であると言えそうです。

 テレビなどでも、結婚という単語とほとんどセットで流されるようなイメージですよね。

 そもそもはシェイクスピアの書いた同名の戯曲を、メンデルスゾーンが劇付随音楽という形で作曲したものです。

 いまで言うと、演劇のためのBGMといったところでしょうか。

 はじめは当時17歳の少年フェリックスが、姉であるファニーとピアノ連弾を楽しむため、ほとんど即興で書いたものだそうです。

 天才の名をほしいままにしたメンデルスゾーンですが、このエピソードだけでも才覚のすごさがうかがえます。

 記録によれば結婚式で流されるのは、彼が存命のときから行われていたようです。

 また、これも例によってというか、姉・ファニーの作曲説もあります。

 原作であるシェイクスピアの戯曲は、妖精のパックや妖精の王・オベロン、またオベロンの妻・ティターニアなどが登場し、特にオベロン&ティターニア夫婦のいざこざが巻き起こす事件などが取りあつかわれています。

 けっこうドロドロした内容なのですね。

 したがってというか、結婚式のテーマとしては本来そぐわないものであると、一部の音楽関係者や音楽好きは話題にしたりします。

 しかしこれも毎度のパターンではありますが、音楽だから楽しんだもの勝ちというのが、個人的な意見になります。

 全体は大きく3つのパートにわかれていて、有名な前半と後半のほか、中間部も大いに楽しめます。

 「つなぎ」の部分ではあるわけですが、あたかもシンデレラをプリンスが夢の世界へ誘うようなシーンを想起させ、最後にくだんのファンファーレが鳴り響き、有名な第1主題へと戻る流れです。

 この曲だけではなく、「序曲」や「スケルツォ」など、とにかく楽しい楽曲のオンパレードですので、ぜひ全曲をとおして聴いていただきたいところです。

 おすすめはクレンペラーの録音で、古い音源ではありますが、御大自身この曲が大好きだったそうで、大切なレパートリーのひとつとなっていました。

 ゆっくりめのテンポではありますが、音楽をつむぎだすという表現がまさにぴったりの名盤として知られています。

 単純に音楽としての完成度が高いナンバーですので、通俗名曲だと毛嫌いせず、一度とおしてかけてみてはいかがでしょうか。
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