交響曲 第8番 「千人の交響曲」 マーラー

文字数 1,000文字

<タイトル>

交響曲 第8番 変ホ長調 「千人の交響曲」

<作曲者>

グスタフ・マーラー

<おすすめ盤>

マリス・ヤンソンス(指揮)

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

<解説>

 交響曲作曲家(シンフォニスト)マーラーの交響曲の中でも最大規模の作品であり、彼の書法のひとつの集大成とも言われる大曲です。

 オーケストラやソリスト・合唱なども含め、大量の人員を必要とすることから、興行主が話題作りため「千人の交響曲」と勝手に命名した形になります。

 作品の内容を限定されることを嫌悪していたマーラーは、この「仕打ち」をいまいましく思っていたそうです。

 聞き手としてはサブタイトルはあったほうがわかりやすいですが……

 つくづく表現者であると言えましょう。

 冒頭の部分はたまにテレビなどでも使用されますし、アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」で大胆に使用され話題となりましたから、ごぞんじの方もいらっしゃるかもしれません。

 作品は2部構成になっており、第1部はラテン語の讃美歌、第2部はドイツ語によるゲーテ「ファウスト」から歌詞が引用されています。

 これまでは自作詩や通俗的な詩からリリックを採用していただけに、これを理由として「やらかした」と判断する専門家・指揮者も存在したりします。

 「偉大な失敗作」とまで言われる始末です。

 マーラーを敬愛してやまなかった指揮者レナード・バーンスタインまでもが、「時間があったら手直ししていたでしょう」とまでインタビューで答えています。

 求道者のマーラー先生が、そんな作品を初演に提出するとは、個人的には思えないのですが……

 とにかく聴きごたえという意味では、よくも悪くもな名曲です。

 第1部が終わったらさようならなファンも多そうですが(とほほ……)

 おすすめは先ごろ鬼籍に入られた名指揮者ヤンソンスさんの録音です。

 コンセルトヘボウ管弦楽団の独自レーベルから発売されております。

 とにかく崩壊しやすいこの大曲を、きちっとかつ端正にまとめてあって、非常に鑑賞しやすい音源だと思います。

 この交響曲について、マーラー先生が友人の指揮者メンゲルベルクに当てた書簡の中で、「大宇宙が鳴動する様子をイメージしてください」と供述しています。

 どう思われたかはともかく、「世界を封印する」のが大好きな先生らしいエピソードといえ、とてもほっこりとしてしまいます。

 どえらい長さではありますが、一度は聴いていただきたい音楽ですね。
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