「24の前奏曲とフーガ」 ショスタコーヴィチ

文字数 1,137文字

<タイトル>

24の前奏曲とフーガ 作品87

<作曲者>

ドミトリー・ショスタコーヴィチ

<おすすめCD>

コンスタンティン・シチェルバコフ(ピアノ)

ナクソス(レーベル)

<解説>

 旧ソ連の作曲家ショスタコーヴィチの手になるピアノ曲の大曲です。

 1950年7月、大バッハの没後200年を記念する音楽祭がライプツィヒでおこなわれ、同時にピアノ・コンクールも開催されました。

 そこで第1位に輝いたピアニストであるタチアナ・ニコラーエワの芸術性に感銘を受け、審査員をつとめていたショスタコーヴィチが、彼女のために作曲したものです。

 「24の前奏曲とフーガ」といえば、バッハの2巻からなる「平均律クラヴィーア曲集」を思い出します。

 バッハの場合は、第1番ハ長調から始まり、第2番ハ短調、第3番(えい)ハ長調、第4番(えい)ハ短調と、長短両方のプレリュードとフーガが半音ずつ上の調へ移っていき、最後は第24番ロ短調で終わるという形です。

 しかしショスタコーヴィチの場合、第1番ハ長調から、第2番イ短調、第3番ト長調、第4番ホ短調というふうに、シャープ記号を一つずつ増やしていき、シャープ6つの第13番(えい)ヘ長調から、その平行短調であるフラット記号6つの第14番(へん)ホ短調へいき、最後は第24番ニ短調で終わるという構造になっています。

 これはショパンの「24の前奏曲」と同じやり方です。

 いかにも「暗号好き」のショスタコーヴィチが好みそうな方法ですね。

 初演はニコラーエワによっておこなわれました。

 この曲の面白いところは、それぞれの調の前奏曲とフーガが、あたかもひとりひとりのキャラクターであるように、美しく静謐(せいひつ)だったり、滑稽(こっけい)だったりグロテスクだったりするところだと思います。

 個人的に好きなのは第15番(へん)ニ長調で、おどけた道化師のような前奏曲から、その道化師が何かおそろしいものに追い立てられるようなフーガへ移行するところが興奮します。

 CDの枚数にして3枚になることもあるとびきりの大曲ですが、聴いていて飽きることがありません。

 おすすめしたのはシチェルバコフさんというピアニストですが、一歩間違えば崩壊してしまいそうなこの大曲を、とても丁寧に性格づけ、まとめられています。

 そのため、とても鑑賞しやすいセットだと思います。

 今回は珍しく、音楽理論的なことも勉強したので疲れました(汗)

 このエッセイの質を向上させるためにも、努力は(おこた)れないですね。

 がんばりすぎると更新の頻度(ひんど)が落ちてくるのがジレンマです(爆)
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