「イン・エクレシス」 ガブリエリ

文字数 772文字

<タイトル>

イン・エクレシス((つど)いにて)

<作曲者>

ジョヴァンニ・ガブリエリ

<おすすめ盤>

スティーヴン・クレオバリー(指揮)

ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団ほか

<解説>

 ジョヴァンニ・ガブリエリはイタリアの作曲家・オルガニストで、音楽史でいうとルネサンス期からバロック期への過渡期(かとき)を代表する存在でした。

 当時もっとも影響力のあった音楽家であり、ヴェネツィア学派と呼ばれる派閥(はばつ)の頂点に立っていた人物です。

 コーリ・スペッツァーティ、日本では「分割合唱」と呼ばれるそうですが、異なる音域の合唱隊が受け継ぐようにフレーズを歌う作曲技法を、国内外に広めたことでも知られています。

 このやり方が発展する形で、バロック音楽が形成されたという見方もあるんだとか。

 いずれにせよ、教会の空間で歌声がどう響くかが緻密(ちみつ)に計算されたようです。

 紹介させていただく「イン・エクレシス」は、ガブリエリの声楽作品の中ではもっとも有名なもので、14(せい)によるモテットという形式を採用しています。

 楽器や声楽のパートは明確に配置されているのですが、ここにもおそらくガブリエリの綿密(めんみつ)試行錯誤(しこうさくご)があったのでしょう。

 オルガンによる通奏低音が使用されていますが、これはガブリエリの作品としては初めての試みであり、当時としても珍しいやり方だったようです。

 10分以上もある音楽ですが、その神秘的な響きにはついうっとりしてしまい、時間を忘れて聴き入ってしまうことうけあいです。

 おすすめするのは古楽のジャンルでは定評のあるクレオバリーさんの録音です。

 Spotifyで発見したのですが、リード・ヴォーカルに少年合唱を採用しているのが興味深いです。

 まさに天使のような歌声で、夢の中にいるような時間を過ごせます。

 バロックより前の音楽は経験がないという方も、この機会にいかがでしょうか。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み