交響曲 第7番 「夜の歌」 マーラー

文字数 1,028文字

<タイトル>

交響曲 第7番 ホ短調 「夜の歌」

<作曲者>

グスタフ・マーラー

<おすすめCD>

オットー・クレンペラー(指揮)

ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

ワーナー(レーベル)

旧EMI(音源)

<解説>

 自分にとって、運命の一枚です。

 これがなければ、いまのわたしはないでしょう。

 「夜の歌」はマーラー本人による命名ではありませんので、この呼び方を嫌うファンも少なくありませんが、わたしとしてはこの名前がしっくりくるのです。

 マーラーの交響曲の中でも、もっとも内向的であり、失敗作のように断ずるクラシック・ファンもいるくらいです。

 作曲者の個人的な精神世界の吐露とも考えられますから、しかたがないのかもしれません。

 小説と同じで、こういうタイプの表現は一般受けはしませんが、一部の人には歓迎されるのでしょう。

 5楽章形式であり、偶数楽章は「夜曲(やきょく)」と呼ばれます。

 この曲については語りつくせないのですが、個人的にはケン・ラッセル監督の映画「マーラー」において、主人公マーラーと妹のジャスティン(ユスティーネ)が、第3楽章の鳴り響く中、緑の庭園のいたるところを踊ってまわるシーンが頭にこびりついています。

 この交響曲に「桜の森」をイメージするわたしは病んでいるのかもしれませんが、そんな人間にも救済を与えてくれるマーラー先生は偉大ですね。

 「やがてわたしの時代が来る」と彼は言いました。

 マーラーの時代は常にあるというのが、個人的な意見です。

 精神的な救済を求める人間が存在する限りという意味で。

 おすすめはマーラーの弟子のひとりだったクレンペラーの名盤です。

 同じ弟子でもブルーノ・ワルターとはベクトルが真逆みたいな人ですが、彼はここで、師・マーラーの精神世界に可能な限り潜り込もうとしているように感じます。

 超スロー・テンポなので、慣れないうちは地獄以外の何ものでもありませんが、いったんハマると、もう抜け出せなくなります。

 音楽そのものだけではなく、マーラーの精神世界に。

 この世からいなくなってもなお、人間を救済する。

 それこそあるいは、マーラーの本懐だったのかもしれません。

 偉人とはかくや、ですね。

 ああ、桜の森が俺を呼んでいる……

 ヤバい人ではありませんよ(汗)

 深淵に落ちる前に、この辺で。

 失礼いたします。
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