第4話:二人の夏休み(その4)
文字数 1,382文字
おれは仕事を超特急で終わらせると、西森の待つラーメン屋に走った。
時刻は夕方6時前。
夏の暑さと、高鳴るドキドキのせいで、汗びっしょりのまま、ラーメン屋のドアをガラッと開けた。
夕飯時なので、店内はお客さんであふれていて、相変わらずの人気ぶりを感じさせる。
おれは大将を見つけるや否や、
「大将!」
と声をかけると、
「らっしゃい、りゅうちゃん!
彼女さん、2階でお待ちだよ!
『ラーメン』の部屋でね」
と大将が2階を指さしながら言った。
「ありがとう!
部屋も取ってくれてて、ほんと、ありがと!」
おれは大将にお礼を言いながら、猛ダッシュで階段を駆け上がった。
前に西森と来た時にも思ったけれど、2階は1階の「いかにもラーメン屋!」という大衆食堂感が無いので不思議だ。
ちょっと薄暗くて、なんだかお忍びで利用するような個室の雰囲気がある。
ただ、部屋の名前が『ラーメン』と『ぎょうざ』なので、ネーミングにオシャレさは皆無なのだが・・・。
ま、それはともかく、大将に言われたとおり、『ラーメン』という名の部屋のドアを開けると、
「先生、早かったですね。
私も今来たところです。」
と言ってニコッとほほ笑む西森が座っていた。
夏休みに入ってからほとんど会えなくて、ガマンしていた気持ちが一気にあふれ出す。
「に・・・西森・・・」
「ハイ?」
「会いたかったーっ!!」
「!?」
おれと西森が「先生と生徒」の関係じゃなかったら、間違いなくおれは西森を抱きしめていたと思うが、一応「心のブレーキ」が働いたため、なんとかガマンできた。
喜びのあまり、しばらく立ったまま西森を見つめていたが、
「ほら!
バカなこと言っていないで、早く座って下さい!」
と、西森がバンバンと机を叩き、おれに「座れ」と促す。
「ハイ・・・」
おれはカバンを下し、席に着こうとした。
が・・・
どうしよう、どこに座ろう?
西森は部屋の壁側の奥の席にチョコンと座っている。
西森の隣?
隣に座ると、西森をさらに壁の奥側に押しやり、逃げ場を失くしてしまう形になってしまう。
しかも西森、今日は少し薄手の白いワンピースに紺色のカーデガンを羽織っていて、いかにも「女の子らしい」格好をしている。
いつも制服姿しか見慣れてないので、そのギャップだけでもかわいすぎて、萌え死にそうだ・・・。
そのうえ、接近するほど近くに座ってしまったら、おれの切れかかっている「心のブレーキ」がいとも軽く切れてしまいそうな恐怖がある・・・。
「ああっ!ダメだ!」
「!?」
突然、おれが大声を出したので西森はビクッとした。
「あ、いや、何でもない・・・。
ちょっとうれしくて、泣きそうになっているだけ・・・」
そう言いながら、おれは机をはさんで西森と向かい合う形で座った。
これならば、魔が差したとしても西森には簡単に手が届かないから大丈夫だろう。
それに正面から西森の顔を見れるから、これはこれで幸せ過ぎる。
思わずにやけた顔で、じーっと西森の顔を見つめていると、
「先生、真正面に座るのやめてください」
と、言い出した。
「えっ!?ダメなの!?」
すると西森は自分の隣の席をバンバンと叩き、
「ほら、こっちに来てください!
正面から食べている顔とかじっと見られるのイヤなんです!!」
と言って、こっちに来い、と促してくる。
いや・・・、おれは別にいいんですけど・・・
って、西森!おまえ、全然おれのことを警戒してないけど大丈夫なのか!?
時刻は夕方6時前。
夏の暑さと、高鳴るドキドキのせいで、汗びっしょりのまま、ラーメン屋のドアをガラッと開けた。
夕飯時なので、店内はお客さんであふれていて、相変わらずの人気ぶりを感じさせる。
おれは大将を見つけるや否や、
「大将!」
と声をかけると、
「らっしゃい、りゅうちゃん!
彼女さん、2階でお待ちだよ!
『ラーメン』の部屋でね」
と大将が2階を指さしながら言った。
「ありがとう!
部屋も取ってくれてて、ほんと、ありがと!」
おれは大将にお礼を言いながら、猛ダッシュで階段を駆け上がった。
前に西森と来た時にも思ったけれど、2階は1階の「いかにもラーメン屋!」という大衆食堂感が無いので不思議だ。
ちょっと薄暗くて、なんだかお忍びで利用するような個室の雰囲気がある。
ただ、部屋の名前が『ラーメン』と『ぎょうざ』なので、ネーミングにオシャレさは皆無なのだが・・・。
ま、それはともかく、大将に言われたとおり、『ラーメン』という名の部屋のドアを開けると、
「先生、早かったですね。
私も今来たところです。」
と言ってニコッとほほ笑む西森が座っていた。
夏休みに入ってからほとんど会えなくて、ガマンしていた気持ちが一気にあふれ出す。
「に・・・西森・・・」
「ハイ?」
「会いたかったーっ!!」
「!?」
おれと西森が「先生と生徒」の関係じゃなかったら、間違いなくおれは西森を抱きしめていたと思うが、一応「心のブレーキ」が働いたため、なんとかガマンできた。
喜びのあまり、しばらく立ったまま西森を見つめていたが、
「ほら!
バカなこと言っていないで、早く座って下さい!」
と、西森がバンバンと机を叩き、おれに「座れ」と促す。
「ハイ・・・」
おれはカバンを下し、席に着こうとした。
が・・・
どうしよう、どこに座ろう?
西森は部屋の壁側の奥の席にチョコンと座っている。
西森の隣?
隣に座ると、西森をさらに壁の奥側に押しやり、逃げ場を失くしてしまう形になってしまう。
しかも西森、今日は少し薄手の白いワンピースに紺色のカーデガンを羽織っていて、いかにも「女の子らしい」格好をしている。
いつも制服姿しか見慣れてないので、そのギャップだけでもかわいすぎて、萌え死にそうだ・・・。
そのうえ、接近するほど近くに座ってしまったら、おれの切れかかっている「心のブレーキ」がいとも軽く切れてしまいそうな恐怖がある・・・。
「ああっ!ダメだ!」
「!?」
突然、おれが大声を出したので西森はビクッとした。
「あ、いや、何でもない・・・。
ちょっとうれしくて、泣きそうになっているだけ・・・」
そう言いながら、おれは机をはさんで西森と向かい合う形で座った。
これならば、魔が差したとしても西森には簡単に手が届かないから大丈夫だろう。
それに正面から西森の顔を見れるから、これはこれで幸せ過ぎる。
思わずにやけた顔で、じーっと西森の顔を見つめていると、
「先生、真正面に座るのやめてください」
と、言い出した。
「えっ!?ダメなの!?」
すると西森は自分の隣の席をバンバンと叩き、
「ほら、こっちに来てください!
正面から食べている顔とかじっと見られるのイヤなんです!!」
と言って、こっちに来い、と促してくる。
いや・・・、おれは別にいいんですけど・・・
って、西森!おまえ、全然おれのことを警戒してないけど大丈夫なのか!?