第20話:二人きりの夜(その20)
文字数 803文字
「じゃあ夏菜も約束してくれる?」
「何をですか?」
「夏菜に想いを寄せる男が出て来たら『好きな人がいます』って言ってくれる約束」
「えっ!?」
夏菜からの約束を、おれからも逆に返してみた。
だって、また水野君みたいな男子が現れる可能性だってあるからだ。
そう聞くと、夏菜は足をばたつかせながら、
「『想いを寄せてくる』人なんていませんよ!
だって私、全然かわいくないし、おしゃべりも上手じゃないし、真面目で面白味もないから」
と否定するが、もう全部がかわいくて仕方がない。
後ろから抱きしめているため、表情は見えないが、きっと真っ赤になっているに違いない。
おれはそっと夏菜の耳元に唇を寄せ、
「それは夏菜が思っているだけであって、水野君の例もあるし、いつどこで誰かに告白されるか、心配でたまらないんだ」
とささやいた。
夏菜はビクッと体を震わせ、ばたつかせていた足を止める。
そして、おれの腕をギュッとつかむと、
「それは・・・私のセリフです・・・」
と言った。
「だって・・・
先生、なんやかんや言っても、女の子達にもててるし、私よりかわいい子に告白されたら、きっとそっちに行っちゃう気がして・・・」
そのセリフを聞き、おれは後ろから再び夏菜をギュッと抱きしめる。
「いかないよ。
夏菜が一番大好きだから」
本当なら、この甘い雰囲気に溺れて、キスしたい衝動に何度も駆られた。
だが、そこまで夏菜の気持ちがとどいていないかもしれないので強行突破をするのもどうかと思い、なんとか踏みとどまっている状態だ。
それに、両想いになれたという「幸せ」をもっとかみしめていたい。
今はこの「幸せ」だけで十分満足だ。
満足だけど・・・
「今、何時だ?」
おれは時計を気にするふりをして、夏菜を抱きしめる力を弱めた。
というのも、これ以上夏菜に触れていると、押し殺している感情が爆発して、何を仕出かすか分からないからだ。
夏菜は携帯電話に手を伸ばし、
「今、1時過ぎですね」
と答えた。
「何をですか?」
「夏菜に想いを寄せる男が出て来たら『好きな人がいます』って言ってくれる約束」
「えっ!?」
夏菜からの約束を、おれからも逆に返してみた。
だって、また水野君みたいな男子が現れる可能性だってあるからだ。
そう聞くと、夏菜は足をばたつかせながら、
「『想いを寄せてくる』人なんていませんよ!
だって私、全然かわいくないし、おしゃべりも上手じゃないし、真面目で面白味もないから」
と否定するが、もう全部がかわいくて仕方がない。
後ろから抱きしめているため、表情は見えないが、きっと真っ赤になっているに違いない。
おれはそっと夏菜の耳元に唇を寄せ、
「それは夏菜が思っているだけであって、水野君の例もあるし、いつどこで誰かに告白されるか、心配でたまらないんだ」
とささやいた。
夏菜はビクッと体を震わせ、ばたつかせていた足を止める。
そして、おれの腕をギュッとつかむと、
「それは・・・私のセリフです・・・」
と言った。
「だって・・・
先生、なんやかんや言っても、女の子達にもててるし、私よりかわいい子に告白されたら、きっとそっちに行っちゃう気がして・・・」
そのセリフを聞き、おれは後ろから再び夏菜をギュッと抱きしめる。
「いかないよ。
夏菜が一番大好きだから」
本当なら、この甘い雰囲気に溺れて、キスしたい衝動に何度も駆られた。
だが、そこまで夏菜の気持ちがとどいていないかもしれないので強行突破をするのもどうかと思い、なんとか踏みとどまっている状態だ。
それに、両想いになれたという「幸せ」をもっとかみしめていたい。
今はこの「幸せ」だけで十分満足だ。
満足だけど・・・
「今、何時だ?」
おれは時計を気にするふりをして、夏菜を抱きしめる力を弱めた。
というのも、これ以上夏菜に触れていると、押し殺している感情が爆発して、何を仕出かすか分からないからだ。
夏菜は携帯電話に手を伸ばし、
「今、1時過ぎですね」
と答えた。