第8話:先生のお誕生日(その18)

文字数 646文字

水野が『キスをプレゼントしたら?』と言った時、冗談で言ったのかと思ったけど、これは冗談では無く、本当に『有り』のプレゼントなの?

というか、誕生日にはキスしないといけないの?

恋人達の間では、それが普通なの?

そんなことを考え始めると、ますます頭の中が混乱してきた・・・。

ふと店の時計が目に入る。

塾の修行開始まで、あと20分ぐらいだ。

早くプレゼント決めて、行かなきゃいけないのに、どうしよう!

その時だ。

『ピピピ』と携帯電話が鳴った。

あわてて取り出すし着信先を見てみると、先生からだ。

急いで『通話ボタン』を推す。

「ハイ、西森です!」

すると、電話の向こう側から、いつもの先生の優しい声が聞こえてきた。

「西森?
今日、職員室に来てたって、山根先生から聞いたけど、何かあった?」
と聞いてきたので、
「あ、その、ボールペンを忘れたのかと思って、持って行ったんですけど、あれ、先生のでした?」
と答える。

どうやら、山根先生から、私が職員室に来た話を聞いて、気になって電話をかけてきたみたいだ。

「あ、ボールペン!
西森が持ってきてくれてたのか、ありがとう。
忘れたと思ったのに、机にあったから助かったよ」
と先生が言ったので、
「やっぱり、そうでしたか。
よかったです」
と答えた。

いつもの何気ない会話。
でも、もっと違う話がしたい。

恋人同士が交わすような、甘くて切なくなるような話が・・・。

このまま電話を切りたくなくて、
「先生・・・」
とボソッとつぶやいた。

先生は、
「何?どうした?」
と優しい声で返してくれる。

「その・・・私・・・」
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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