第13話:二人きりの夜(その13)

文字数 699文字

まさかの水野君からの電話に動揺したが、
「水野君、心配して電話してきてると思うから、出ていいよ」
と、電話に出ることを勧めた。

西森はちょっと迷ったみたいだったが、着信ボタンを押し、
「はい、西森です」
と電話に出た。

おれがこの場にいたら西森も気まずいかと思い、隣のベッドルームへ移動しようかと立ち上がる。

でも、耳は西森と水野君の会話に傾いたままだ。

「水野?
うん、大丈夫だよ。
確かにちょっと森で迷子になっていたけど、今は旅館に着いて無事だから」

西森の会話から、水野君が心配して電話をかけてきたことが分かった。

盗み聞きは悪い、と思いながらも、そのまま耳を澄ましていると、
「え?先生?
も、もちろん別々の部屋だよ!」
と、おれの話題が出てきたので、思わずビクッとしてしまった。

やっぱり・・・。

水野君、おれと西森が二人で泊まるって聞いて、心配したんだろうな・・・。

さっき水野君と電話した時、何かしら勘ぐっている感じがしたし、「あの先生、怪しい」と思っているに違いない。

ますます西森と一緒の部屋にいては、何かボロが出るかもしれないと思い、隣の部屋に逃げようとしたが、西森が、
「ちょ、ちょっと待って。
今すぐ、ここで告白の返事なんて出来ない・・・」
と言ったため、また足が止まってしまった。

西森は顔を真っ赤にしながら、
「違っ・・・
そうじゃなくて、ただ私は・・・」
と困惑した表情を浮かべている。

思わず、西森と目が合った。

西森はドキッとしたような顔をして、そのまま目をそらして、電話をしながらそのまま隣の部屋へ移動しようとした。

なんだろう。

その行動に思わずヤキモチを焼いてしまったのか、おれは再び西森を後ろからギュッと抱きしめた。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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