第9話:風邪をひいた日の話(その31)

文字数 702文字

「え?」

夏菜に『クリスマスは恋人同士で過ごすのか?』と聞かれ、おれは『これは「一緒に過ごしたい」という意味で聞いてきているのか?』と、一瞬思ってしまった。

なので思わず、
「夏菜は・・・おれと一緒に過ごしたい?」
と聞くと、夏菜は、
「そ、それは・・・」
と言って、ますます頬を赤く染める。

壁にかけていたカレンダーに目をやると、クリスマス・イブは土曜日で、クリスマスは日曜日。

おれはカレンダーを指さしながら、
「今年はラッキーなことに、土日がクリスマスだけど、夏菜はどう?
塾とか、勉強で忙しかったら、無理強いは出来ないけど、もし都合がよかったら、一緒に過ごす?」
と聞いてみた。

さりげなく聞いてみたが、内心、心臓はバクバクと音を立て、めっちゃドキドキしている。

だって、断られたら、すごいショックだから!

ドキドキしながら返事を待っていると、夏菜は『パアッ』とうれしそうな顔をしながら、
「大丈夫です!
その日まで、一生懸命勉強しておけば、何とかなりますし、一緒にクリスマス過ごしたいです!」
と言ってくれた。

「ほ、ほんとに?」

夢じゃないのかと思って、聞き返してみたが、夏菜はニコニコしながら、
「はい!
クリスマス、とっても楽しみにしていますね!」
と言ってくれた。

その笑顔がやっぱりかわいすぎて、思わず夏菜をグイッと引き寄せる。

夏菜の小さな体をギュッと強く抱きしめながら、
「クリスマスまで、仕事がんばるから。
だから、最高に楽しくて幸せなクリスマスを二人で過ごそう」
と言うと、夏菜も、
「はい、絶対約束ですよ」
と言って、ギュッと抱き返してくれた。

夏菜と初めて過ごすクリスマス。

どうか素敵な1日が過ごせますように・・・。

★第9話終わり★
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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