第10話:クリスマス・デート(その10)

文字数 656文字

「そんなところで、イルミネーションしてるとは知らなかった」

おれがちょっと驚きながらそう言うと、涼介は、
「イルミネーションっていっても、都会でやっているような大掛かりなモノじゃなぞ。
4、5本の木に簡素な飾りつけぐらいだから、あまり期待はしないでくれ」
と言う。

こじんまりしたものだと想像はできるが、それでも教えてくれたことはありがたい。

デート候補地が1つも無いよりは、はるかに良い。

おれは涼介に、
「情報、ありがとう。
当日行けるかどうかは分からないけど、行けそうだったら行ってみるよ」
とお礼を言うと、涼介はカバンをゴソゴソを探りながら、
「あ、ついでに、少し早いけど、クリスマスプレゼント持ってきたんだ」
と言って、紙袋を差し出してきた。

「クリスマスプレゼント?」

そんなもの、大学時代にも一度ももらったことがなかったので、びっくりしながら受け取る。

涼介は笑いながら、
「プレゼントって言っても、去年、職場の飲み会のビンゴ大会でもらったものなんだけど、おれには今のところ必要ないからさ」
と言う。

「ビンゴ大会の景品ってなんだよ?」

首をかしげながら紙袋を開けてみると・・・

「ちょ、ちょっと!?
これ、なんだよ!
というか、どうするんだよ!?」

中身を見てびっくりして声を上げるおれに、涼介は笑いながら、
「女子用のサンタ服のコスチューム。
おれ、彼女いないからそんなもの必要なくてさ。
ま、気が向いたら、西森ちゃんに着せてみれば?」
と言った。

いやいやいや!
こんな真っ赤なミニスカートのサンタ服のコスチューム、西森に着させられるわけないだろ!?
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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