第8話:先生のお誕生日(その31)

文字数 624文字

突然、先生が『かわいさの連続』というわけの分からないことを言い出したので、思わず私は、
「え?なんですか、それ?」
と聞き返してしまった。

先生はまた顔を机に突っ伏せ、
「ほら、全然自覚してない!
自分がどれだけ『かわいい』かってことを!
もう、さっきからずっと夏菜がかわいくて、困る!」
と言い出す。

え?
『かわいい』って、私のことが?

先生の発言の意味を理解したとたん、急に恥ずかしくなってくる。

「な、なに言ってるんですか!?
別にいつもと変わらないし、かわいいことなんて、何もやってないですよ!?」
と私が言うと、先生は首を横に振り、
「違う!
今日は、なんか、もう家に着いた時からずっとかわいくて、おれもどうしたらいいか分からないぐらいなんだから!
写真撮る時の表情もかわいかったし、チョコンとテーブルの前に座って、おれがケーキを切るのを待っててくれている姿もかわいかったし、プレゼントくれる時の恥ずかしがっている表情もかわいくて、おれはもう・・・死にそうだ・・・」
と言う。

意味不明!!

どう考えても私『かわいい部類』の女の子に入らないのに、なんでそんなことが言えるのか、ほんとに意味不明!!

成績が良いことぐらいしか、今まで褒められたことがないので、もうどうしていいか分からない!

頭の中が混乱しておかしくなったのか、私は先生に、
「うそです!」
と叫んだ後に、
「『かわいい』って言う割には、今日は全く近づいて来てくれないじゃないですか!」
と、変なことを口走ってしまっていた。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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