第9話:風邪をひいた日の話(その8)
文字数 540文字
そうこうしているうちに、家の近所まで帰ってきてしまった。
『楽しい時間』というのは、なんでこんなにあっという間に過ぎてしまうのだろう。
もっと夏菜と一緒にいたかったけど、こればかりは仕方が無い。
おれは辺りをキョロキョロと見まわし、
「とりあえず、おれのアパートの駐車場に停めるから。
奥まっているから、人目につきにくいだろうし」
と言って、駐車場に車を進めた。
アパートの駐車場の周りには木がうっそうと茂っているので、周りからも目立たず、近所の人に見られにくいと思ったからだ。
車のエンジンを切る。
急に静かになった車内。
おれがふと隣の夏菜の方に目を向けると、夏菜もおれの方を見ていた。
なぜか急に心臓がドキンドキンと高鳴り始める。
夏菜は、
「先生、送ってくれてありがとうございました。
じゃあ、帰りますね」
と言って、シートベルトを外す。
さみしい気持ちで、車を出ていく夏菜を見つめていたが、急に夏菜が振り返り、
「先生・・・」
と言って、おれの手をギュッと握ってきた。
夏菜は何かを言いたそうな顔をしていたが、
「あ、ごめんなさい。
私、風邪ひいているから、近づいたら、先生にうつしてしまうかもしれないのに・・・」
と言って、あわててドアを開けようとしたが、おれは思わず、
「待って!」
と言って、夏菜の腕をつかんだ。
『楽しい時間』というのは、なんでこんなにあっという間に過ぎてしまうのだろう。
もっと夏菜と一緒にいたかったけど、こればかりは仕方が無い。
おれは辺りをキョロキョロと見まわし、
「とりあえず、おれのアパートの駐車場に停めるから。
奥まっているから、人目につきにくいだろうし」
と言って、駐車場に車を進めた。
アパートの駐車場の周りには木がうっそうと茂っているので、周りからも目立たず、近所の人に見られにくいと思ったからだ。
車のエンジンを切る。
急に静かになった車内。
おれがふと隣の夏菜の方に目を向けると、夏菜もおれの方を見ていた。
なぜか急に心臓がドキンドキンと高鳴り始める。
夏菜は、
「先生、送ってくれてありがとうございました。
じゃあ、帰りますね」
と言って、シートベルトを外す。
さみしい気持ちで、車を出ていく夏菜を見つめていたが、急に夏菜が振り返り、
「先生・・・」
と言って、おれの手をギュッと握ってきた。
夏菜は何かを言いたそうな顔をしていたが、
「あ、ごめんなさい。
私、風邪ひいているから、近づいたら、先生にうつしてしまうかもしれないのに・・・」
と言って、あわててドアを開けようとしたが、おれは思わず、
「待って!」
と言って、夏菜の腕をつかんだ。