第9話:風邪をひいた日の話(その15)

文字数 610文字

「はあああ・・・
やっぱり、カッコつけなかった方が、よかったかなぁ・・・」

電話を切った後、おれはガックリとその場にしゃがみこんだ。

西森からの看病の申し出、素直に受けたらよかったのに。
なんで、断ったんだろう・・・。

後悔の波が押し寄せてきたが、やっぱり西森に風邪をまたうつしてしまうのは、絶対良くないので、断って正解だったと思う。

それより、さっきより上がってきた熱をなんとかしなくてはいけない。

市販の薬より、病院で診てもらって処方してもらう方がよさそうだ。

「病院・・・今の時間でも開いているところあるかな・・・」

そうつぶやきながら、フラフラと立ち上がる。

そして、帰りの支度をしに職員室に戻った。

******

運よく、夜遅くまで開いている病院があったので、帰りに寄って、薬をもらって家に帰ってきた。

インフルエンザとかでもなく、ただの風邪だったみたいなので、薬を飲んで、おとなしく寝ていれば治るだろう。

「薬、食後に飲めと書いているけど、食欲無いなぁ・・・」

コンビニで買ってきたおにぎりを、無理やり口に運び、食べ終わった後に薬を飲んだ。

そして、フラフラしながらパジャマに着替え、そのままベッドに倒れこむ。

一人暮らしで、風邪をひくと、なんでこんなに心細いんだろう?

西森の顔が頭に浮かぶ。

「西森がいてくれたら、さみしくないのに・・・
顔見てるだけで、安心してよく眠れそう・・・」

妄想というか、願望を口に出しながら、そのまま深い眠りについた。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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