第7話:二人の夏休み(その26)
文字数 1,030文字
森の中は、自分が思っていたほど木々や草が茂っていなくて、人が一人通れるぐらいの細い道が奥へと続いている。
途中二股に別れているところがあって、帰り道迷わないように石を置くなどして目印を付けた。
「西森・・・
どこに行っちゃたんだ・・・」
そうつぶやいた時、『ピコンピコン!』とスマホの音が鳴った。
「えっ!?」
ビックリして胸ポケットに入れていたスマホを取り出すと、画面には『西森』の名前が!
おれはあわてて「通話」のボタンを押し、
「西森!!」
と叫んだ。
すると電話の向こうから、
「先生・・・ごめんなさい。
道が分からなくなって、森の中で迷子になってます・・・」
と今にも泣きだしそうな西森の声が聞こえた。
西森の声を聞き『無事だったんだ』とホッと胸をなでおろす。
おれは雨を避けるように、大きな木の下に移動し、
「無事でよかった・・・。
ちょうど今、西森を探すために森の中を走り回ってたところなんだ。
今、どこにいるか分かるか?」
と聞くと、西森は、
「え?
じゃあ、もしかしてさっき一瞬、懐中電灯のような光が揺れているのを見たんですけど、それは先生だったんですか?」
と言ったので、
「なに!?
それじゃあ、おれは西森がいる近くを走ってきていたってことか!?」
と驚いた。
昼間だったら、きっと西森の姿を確認できたかもしれないけれど、今は夜で真っ暗なため、見落としていたなんて・・・。
なんて失態!
でも、さっき走って来た道をさかのぼれば、西森に会えるわけだから、この情報はありがたい!
おれは電話を握りしめ、
「西森、来た道を今から戻るから、懐中電灯の光が見えたら声をかけてくれ。
雨が降っていて、音が聞こえにくいから、このまま電話は切らずにそのままでな」
と言うと、西森は、
「分かりました」
と言った。
おれは急いで、来た道を戻り始める。
ほとんど一本道を走って来たので『どっちから来たっけ?』という迷いはなかったし、ぬかるんだ泥道に自分の足跡がついていたので、それを頼りに戻っていく。
2~3分ほど逆走した時だろうか、西森が、
「先生、光が見えました!
こっちです!右の大きな木の下にいます!」
と言ったので、あわてて右の方に懐中電灯を向けると、10メートルぐらい離れたところだろうか。
西森がうれしそうな顔で手を振っているのが見えた!
「西森!」
名前を呼んで駆け寄ると、西森もこちらに向かって走り出す。
「先生!
見つけてくれてありがとうござい・・・」
西森がお礼を言おうとしていたが、その声をふさぐようにギュッと体を抱きしめた。
途中二股に別れているところがあって、帰り道迷わないように石を置くなどして目印を付けた。
「西森・・・
どこに行っちゃたんだ・・・」
そうつぶやいた時、『ピコンピコン!』とスマホの音が鳴った。
「えっ!?」
ビックリして胸ポケットに入れていたスマホを取り出すと、画面には『西森』の名前が!
おれはあわてて「通話」のボタンを押し、
「西森!!」
と叫んだ。
すると電話の向こうから、
「先生・・・ごめんなさい。
道が分からなくなって、森の中で迷子になってます・・・」
と今にも泣きだしそうな西森の声が聞こえた。
西森の声を聞き『無事だったんだ』とホッと胸をなでおろす。
おれは雨を避けるように、大きな木の下に移動し、
「無事でよかった・・・。
ちょうど今、西森を探すために森の中を走り回ってたところなんだ。
今、どこにいるか分かるか?」
と聞くと、西森は、
「え?
じゃあ、もしかしてさっき一瞬、懐中電灯のような光が揺れているのを見たんですけど、それは先生だったんですか?」
と言ったので、
「なに!?
それじゃあ、おれは西森がいる近くを走ってきていたってことか!?」
と驚いた。
昼間だったら、きっと西森の姿を確認できたかもしれないけれど、今は夜で真っ暗なため、見落としていたなんて・・・。
なんて失態!
でも、さっき走って来た道をさかのぼれば、西森に会えるわけだから、この情報はありがたい!
おれは電話を握りしめ、
「西森、来た道を今から戻るから、懐中電灯の光が見えたら声をかけてくれ。
雨が降っていて、音が聞こえにくいから、このまま電話は切らずにそのままでな」
と言うと、西森は、
「分かりました」
と言った。
おれは急いで、来た道を戻り始める。
ほとんど一本道を走って来たので『どっちから来たっけ?』という迷いはなかったし、ぬかるんだ泥道に自分の足跡がついていたので、それを頼りに戻っていく。
2~3分ほど逆走した時だろうか、西森が、
「先生、光が見えました!
こっちです!右の大きな木の下にいます!」
と言ったので、あわてて右の方に懐中電灯を向けると、10メートルぐらい離れたところだろうか。
西森がうれしそうな顔で手を振っているのが見えた!
「西森!」
名前を呼んで駆け寄ると、西森もこちらに向かって走り出す。
「先生!
見つけてくれてありがとうござい・・・」
西森がお礼を言おうとしていたが、その声をふさぐようにギュッと体を抱きしめた。