第8話:先生のお誕生日(その36)

文字数 702文字

「えええっ!?」

突然、先生が私にケーキを食べさせようと、フォークを口元まで持ってきていたので、ビックリして大きな声を出してしまった。

「い、いえ!いいです!
自分で食べれますから!」

あまりにも恥ずかしくて、全力で拒否しようとしたけど、先生は、
「いいから、食べてみて」
と言って、フォークを持った手を下ろす気配が全く無い。

いや、でも!
誰かからケーキを食べさせてもらうのなんて、子供の時以来ないから、めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!

恥ずかしすぎて口を開けられない私に対して、先生は、
「生クリーム嫌い?
チョコの方が良かった?」
と聞く。

「いえ、嫌いではないです・・・」

「苺が乗ってた方が良かった?」

「いえ、乗ってなくても大丈夫です・・・」

「じゃあ、どうぞ」

先生にそう勧められると、閉じていた口が自然と開き、パクッとケーキを食べた。

食べた瞬間、ケーキの甘さが口いっぱいに広がる。

先生がニコッと笑って、
「美味しい?」
と聞いてきたので、
「ハイ・・・美味しいです・・・」
と答える。

とっても甘い・・・

『ケーキの甘さ』か『恋人同士の甘さ』か、どちらに惑わされたのか分からないけど、気づけば私は先生の肩に寄りかかっていた。

私は先生の顔を見上げ、
「美味しかったけど、とっても甘かったです・・・
甘くて、なんか・・・」
とつぶやいていた。

今になって思うと、なんで自分から先生に近づくような態度をとったのか、よく分からない。

『近づかないでください』って言ったはずなのに、自分から近づいているなんて・・・。

すると、先生もパクッと一口ケーキを食べ、
「ほんとだ、とっても甘いな・・・」
とつぶやくと、私の肩を抱き寄せ、そのまま二人で床に倒れ落ちた。


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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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