第8話:先生のお誕生日(その24)

文字数 945文字

先生に「写真を一緒に撮ろう」と言われ、
「えっ!?」
と、またもや驚いた声を出してしまった。

「一緒に写真撮って、大丈夫ですか!?
もし、写真を誰かに見られたらどうするんですか!?」
と聞いたけど、先生は、
「大丈夫だって。
スマホはロックしてるから、よっぽどのことが無い限り、他人に見られることないし」
と返してくる。

た・・・確かにそうだけど・・・
でも、何かあったらどうするんだろう・・・

そんな不安を抱えていると、先生はスマホの画面を私に見せてきた。

「ほら」

「え?」

画面を見ると、他の生徒達と撮った写真が並んでいる。

先生は、
「写真撮った時に、みんなが送ってきてくれたものだけど、これに紛れていれば、そんなに目立たないし」
と主張してきた。

私は画面を見ながら、
「た・・・確かに・・・」
と答える。

写真は、文化祭の時のや、遠足、普段の学校生活等々、いろいろなモノがあった。

男の子達と写っている写真もあったけど、女の子達と一緒に写っている写真が多いことが気になってしょうがない。

なので、思わず、
「なんか、女の子と一緒の写真が多いですね。
この中に、お気に入りの女の子とか、いるんじゃないですか?」
と言ってしまった。

すると先生はあわてて、
「はああああ!?
そんなわけないだろ!!
おれは、西森しか見えてないし、好きなのは西森だけなんだから!」
と言い始めたので、せっかく引いていた頬の赤みが一気に再発してしまった。

「なっ、何を言って・・・」
と焦る私の手を、先生がギュッと握って、
「写真、やっぱりダメ?」
と聞いてきた。

その顔が、あまりにもさみしそうな表情だったので、ちょっとだけかわいそうな気持ちになってくる。

それにやっぱり、私も先生と一緒に写っている写真が欲しい。

会えない時でも、写真を見れば、寂しさが少し消えるような気がするから・・・。

なので、私はドキドキする気持ちを隠しながら、
「い、一枚だけですよ・・・」
と言った。

先生は、
「やったーっ!!」
と、うれしそうな声を出して喜ぶと、カメラを自分の方に向けながら、
「じゃあ、西森。
自撮りするから、そばに来て♪」
と私を手招きする。

「えっ!?」

その撮り方は、予想外だった。

だって、自撮りって、たまにクラスの女子達がやっているのを見たことがあるけど、あれを先生と一緒にやるわけなの!?
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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